DeNA小池コーチ「あれ以来ですか…」日本Sで“ビジター5連勝” フェンス激突の13年前逃した宝物がすくそこに
◇渋谷真コラム・龍の背に乗って 日本シリーズ特別編 ◇31日 SMBC日本シリーズ2024第5戦 ソフトバンク0―7DeNA(みずほペイペイドーム) ◆DeNA・三浦監督、怒りのマウンドならし!【写真】 夢なら覚めてくれ…。あちこちで博多っ子がうなだれていた。今季の本拠地では同一カード3連勝は6度(CS含む)もあったが、3連敗などなかったのだ。まさか1年で最も大切な戦いで起ころうとは…。 日本シリーズ史上○○●●●で王手がかかったのは、8年ぶり7度目だ。うち5度は第5戦(引き分けがあった1962年は第6戦)を勝った方がシリーズを制している。つまり83・3%の確率。ただし、唯一の例外は2003年のダイエーだ。崖っぷちからの連勝で日本一に輝いた。 この年は全7戦をホームチームが制した「内弁慶シリーズ」として知られている。今シリーズは真逆の「外弁慶」。ビジターチームの5連勝は00、11年以来3度目で、これまたいずれもホークスがからんでいる。 ああ、ノスタルジー…。そう。11年とは現時点で中日が出た最後のシリーズだ。東日本大震災のため開幕が遅れたあの年は、11月17日に第5戦が行われた。不得手のヤフードームで連勝しながら、無類の強さを誇ったナゴヤドームでまさかの連敗。中4日で先発したチェンから先制打を打ったのが、4番・小久保だった。5安打零敗を喫し、落合監督はこう言った。 「このシリーズ、ホームで勝てない気がするわ。楽しみだね。福岡が…」。この試合で覚えていることが2つある。第3戦に先発し110球投げた(7イニング、1失点)ソフトバンクの摂津が、何と中1日で中継ぎ登板したこと。そして中日の右翼手がフェンスに激突しながら打球を離さず、負傷退場したことだ。 「もちろん覚えてますよ。何としても(ボールを)離すまいと思ったので。(ビジター5連勝は)あれ以来なんですか…。勝って終われるように頑張ります!」 DeNAの小池外野守備コーチだ。日本シリーズ、いや勝てば王手の第5戦の持つ重み。故障を恐れず腕を振り、体を張った選手の姿が、今も僕の記憶に刻まれている。落合監督が「楽しみだね」と言った福岡で、第6戦を取って逆王手。これがシリーズのビジター最長連勝だ。今度は王手をかけてわが家に帰る小池コーチ。チームにとっては7年ぶりだが、自身は13年前に取り損ねた宝物が、すぐそこに見えている。
中日スポーツ