サスペンスは〝一旦置いといて〟が出来る「ライオンの隠れ家」に最後まで感嘆【白の理由】【寅じいのカニ】【意味深カップラーメン】
◆音みかんの「エンタメ」ワクドキWACTHING
ドラマ、映画、アニメ好き。「三度の飯より…」とは言い切れない食いしん坊・音みかんが個人の趣味に〝全フリ〟したチョイスで昔の名作から最新作までエンタメ作品を語ります。 ■「ライオンの隠れ家」オフショット〝いつもの公園のベンチで談笑する3人〟【写真❶】 13日に放送された金曜ドラマ「ライオンの隠れ家」(TBS)、最終回直前の第10話ではサスペンス部分に大きな動きがあると思っていたのに…。予想を大幅に超えたストーリー展開に驚かされた。稀有なこのドラマの魅力を食いしん坊・筆者が勝手な視点で解き明かしたい。
<以下ネタバレあり。ご了承の上お読みください>
まず、この物語は両親を亡くし茨城県の実家で2人暮らしをしていた小森洸人(ひろと、柳楽優弥)と自閉スペクトラム症の弟・美路人 (みちと・通称みっくん、坂東龍汰) の元に謎の少年・ライオン(佐藤大空)がやって来る所から始まる。 ライオンが洸人とみっくんの家出した姉・橘愛生(尾野真千子)の息子・愁人(しゅうと)で、DV癖のある父・祥吾(向井理)から逃れるために小森家に連れてこられていた事が分かると洸人達は全力でライオンを匿っていた。しかし2人が祥吾に見つかってしまい、家に連れ戻されてしまう。第9話でも洸人は何とか助け出そうと奮闘していたのだが、祥吾に追い返されてしまい失意のまま1人、みっくんの元へ帰ったところからの10話。 おそらくこの回は、最終話に向けてまずはサスペンス部分に大きな動きが見られると予想していた。なぜならこの物語が「ヒューマンサスペンス」と銘打たれているように、ライオンの逃亡劇の裏では偽装死、川からあがった女性の遺体、政治家の関与…などずっとヤバそうな臭いがプンプンしていたのだ。 祥吾が養子に入った橘家が経営する建設会社が関わっている犯罪が明白になり、いよいよ全貌が?と思いきや、筆者の予想なんか軽々超えて10話で描かれたもののはいつも通りの〝家族〟だった。
謎「なぜ衣服がいつも白なのか?」が明かされ涙…
例えば謎解き1つとっても分かる。今話で明かされた大きな謎は事件のことではない。DV被害者をずっとサポートして来たXこと袖留木(岡山天音) の衣服が「なぜいつも白なのか?」ということ。愛生の質問に袖留木は「母親が黒が怖かったんです」と実は自分も父からDVを受けていたことを明かし、白を選んでいた理由を視聴者も初めて知ることになる。そんな袖留木に愛生は「気が向いたらフラッと帰っておいでよ」と〝家族みたいに〟声を掛け抱きしめるシーンは筆者にとって今話で1番の泣きのシーンであった。 またサスペンスベースで話を想像していくとあと2話、時間が余るのでは!?なんて失礼なことを考えてしまっていた。けれど、そんな心配をよそに物語に見入ってしまう展開が繰り広げられた。祥吾に連れ去られたライオンの帰還シーンではみっくんのハシャギっぷりに涙させられたし、寅じい(でんでん)がカニを振る舞うシーンはその豪華さに驚き、用意してくれた愛情に胸があたたかくなった。第1話からずっと日常を丁寧に描いてきたこのドラマに、事件が起きなくて大丈夫なのか?なんて心配はご無用だったのである。