東京駅"2階建て駅舎"は10年持てばよい設計だった!? 「開業110周年」の歴史を紐解く
2024年12月20日、東京駅は開業110周年を迎えました。東京駅はいわば、ここを拠点として全国各地に鉄道が伸びる"日本の玄関口"。記念すべき日に、月刊誌『おとなの週末』でかつて紹介した東京駅の魅力を前後編で取り上げます。前編は、現在は3階建て駅舎の「2階建て」時代を振り返ります。 【激レア画像】まるで城のような和風の東京駅!東京駅の“幻の設計案”と現在の設計を比較する
鉄道好きでなくても面白い『東京ステーションギャラリー』
東京の表玄関である東京駅。その歴史を簡単に紐解けば、開業は1914年・大正3年のこと。 北へのターミナルである上野駅と、西へのターミナルである新橋駅の両駅を結び、日本全国へと広がる鉄道網の中央停車場としての役割を担うために建設された。 現在、その当時のままの姿に復原(復元ではない!!)されているが、赤煉瓦造りの威容を誇る丸の内駅舎の設計は、日本銀行本店の設計でも知られる日本近代建築の先駆者である辰野金吾。 ただ、そのデザインの決定に当たっては、知る人ぞ知る紆余曲折があり、その詳細は、東京駅丸の内北口にある『東京ステーションギャラリー』で知ることができる。 この東京ステーションギャラリーでは、個性的な企画展もさることながら、東京駅の歴史やその内部のこだわった意匠などに関した資料、遺物が常設展示されている。 その内容は鉄道に興味のない人間にも非常に興味深いものがあり、一見の価値がある。
戦災で焼失した丸の内駅舎、"仮の姿"での営業は半世紀以上に
さて。先ほど、丸の内駅舎を"当時のまま復原"と書いたが、その理由は多くの人が知っているであろう、第二次世界大戦時の東京大空襲で焼夷弾が直撃し、南北のドームや3階部分、さらに内部も焼失、開業時の姿は一時潰えていたのである。 しかし終戦の一カ月後には、早くも復興へ向かって東京駅は走り始める。 焼失した3階部分を撤去して2階建てとし、南北のドームにはジュラルミン製の天井が被せられた。 実はこの2階建ての駅舎。せいぜい10年程度持てばいいという程度の、あくまで"仮"といってもいい設計であった。 つまり、2012年の復原までの半世紀以上もの長きに渡り、東京駅丸の内駅舎は、あくまで"仮"の姿で営業を続けていたのである。