ジェレミー・アレン・ホワイトに訊く、カルバン・クラインの新アンダーウェアキャンペーン撮影秘話
ブルックリンで子ども時代を過ごしたジェレミー・アレン・ホワイトにとって、親友のいるロウアー・マンハッタンを訪れるたび目の当たりにしたニューヨークという街の巨大さは畏怖の対象だった。そびえ立つビル群、幅の広い街路、ビルボード広告など、彼には全てがビッグに見えたという。 【写真を見る】『GQ』独占画像あり。カルバン・クライン最新キャンペーンをチェック! 「カルバン・クラインのビルボードには目が釘付けになりました」と、ホワイトは『GQ』に語った。「あまりにも巨大で、自分にとってはニューヨーク・シティそれ自体と切り離せないものでした。今でもね」。そう話すホワイトが、写真家マート・アラスの撮影によるカルバン・クラインの2024年春キャンペーンに、同ブランドのアイコニックな下着を身に着け登場した。 この広告キャンペーンは、ハリウッドの頂点へと着実に登り詰めつつあるホワイトの新たなる一歩に過ぎない。現在32歳の彼は、ダークコメディ・シリーズ『シェイムレス 俺たちに恥はない』に11シーズンにわたって出演した後、コメディドラマ『一流シェフのファミリーレストラン』でのブレイクによって業界屈指の人気俳優へと成長した。カルバン・クラインの下着広告は、そんな彼のステイタスをより強固なものとするだろう。「長年続いてきたカルバン・クラインの広告キャンペーンは、いつだって見事なものでした。人選も、いつも非常に面白いですしね」 ■映画の役のおかげで心の準備ができた その「面白い人選」に自身が加わることになろうとは、ホワイトは考えもしなかったという。「将来を考えたときに、必ずしも念頭にあったことではありません」と、彼は話した。「『俺は将来、カルバン・クラインの広告キャンペーンに出るんだ』なんて考える子どもはいないでしょう?」 それでも、思いがけないオファーはホワイトにとって絶好のタイミングで舞い込んできた。彼がプロレスラーのケリー・フォン・エリックを演じた映画、『アイアンクロー』の撮影がちょうどその前の冬にあったのだ。撮影完了後、彼はスリムな体型を取り戻してはいたが、鍛え抜いた肉体はすでに出来上がっていたのである。しかし同作への出演は、肉体的というよりも心理的なアドバンテージをもたらしたとホワイトは言う。「大勢の目の前で下着姿で動き回ることに慣れっこになったのは、あの映画のおかげです。あの仕事によって心の準備ができていたのだと思います」 そのような精神的な備えができていたとはいえ、撮影を前にしたホワイトには不安があった。「頭の中では、ビルボード広告なんて自分なんかの出る幕じゃない、なんて考えが巡ってました。まったくのインポスター症候群(自分の能力を過小評価し、自己肯定感の低い状態に陥ること)でしたね」。それでも彼はランニングや縄跳び、美容体操、また魚を食べるなどし、撮影に備えた。人前で下着姿を披露するとなれば、誰もが取り組むであろうルーティンだ。撮影の1週間前になって胸を病み、そのルーティンを一時休止せざるを得なくなったホワイトは、撮影前日にできるだけのランニングと腕立て伏せを詰め込んだ。 最終的に出来上がった写真は、1週間のブランクがもたらした影響を微塵も感じさせないものだった。ミケランジェロの彫刻にも負けない見事な腹筋を、ホワイトはテラコッタ色のソファに横たわりながらカメラに見せつけた。 撮影された写真についてホワイトは時間を割いて語ろうとしなかったが、彼は白Tシャツを着て写った白黒のイメージがお気に入りだと話した。「あるショットでは“比較的多め”に服を着ているんですが、薄手の白Tシャツが素晴らしいんです」。彼が最近メディアへの露出に応じる際のお決まりの服装も、この言葉を聞けば納得というものだ。もちろん、カルバン・クラインのキャンペーンの華である定番の下着ショットもたっぷりと撮影された。そのなかには、ウエストバンドのロゴが大きめにリワークされたバージョンもお目見えしている。 ■摩天楼の象徴的存在へ 屋上でくつろぐ下着姿のホワイトを捉えたキャンペーン写真には、マンハッタンのスカイラインが背景としてフィーチャーされている。フルサイズに引き伸ばされた彼のイメージが、まもなくハウストン・ストリートにある有名なカルバン・クラインのビルボードに出現するだろう。そうして彼は街の風景に不可欠の存在となるのである。それは、まさに今沸点に達しようとしているホワイトのキャリアを象徴するものであり、もしかしたら将来、ブルックリンの若者たちにとってマンハッタンのシンボルそのものとなるのかもしれない。 From GQ.COM By Cam Wolf Translated and Adapted by Yuzuru Todayama