韓国次期大統領最有力候補は疑惑まみれの「反日闘士」 韓国大統領選前倒し画策 再び日韓冬の時代か
韓国の尹錫悦大統領の弾劾訴追案の可決から一夜明けた15日、最大野党「共に民主党」の李在明代表が記者会見し、国政が混乱しているとして国会と政府による「国政安定協議体」設置を提案した。同時に尹氏に対する内乱容疑での「迅速で厳正な捜査」を要求した。 尹氏の罷免の是非は180日以内に憲法裁判所が判断。罷免となると、それから60日以内に大統領選挙が実施される。最長で8カ月かかるが、次期大統領の最有力候補である李氏には、それまで待てない理由がある。 李氏は、ソウルの南に位置する城南市長時代の都市開発を巡る汚職疑惑で複数の訴訟を抱えるなど“疑惑まみれ”。先月15日には、前回の大統領選に立候補した際、虚偽発言をしたとして公選法違反の罪で懲役1年、執行猶予2年の判決をソウル中央地裁から言い渡された。最高裁で有罪が確定すれば10年間、被選挙権が奪われる。最高裁の判決は来年前半に出ると言われており、李氏には有罪となる前に大統領になって、刑事訴追を受けない特権を得ておきたいとの思惑があるとみられる。2016年12月9日に弾劾訴追案が可決された朴槿恵元大統領は、翌17年3月10日に罷免されている。 李氏が大統領になれば、尹氏が好転させた日韓関係が再び“冬の時代”に戻るとの懸念がある。反日姿勢が顕著で「反日闘士」とも呼ばれる人物。昨年8月の福島第1原発処理水の海洋放出も強烈に非難。「第2の太平洋戦争として記録される」などと言い放った。日韓間の最大の懸案だった元徴用工問題について解決策を打ち出した尹氏を「日本の手下」と非難したこともあった。 国民の反日感情をあおるだけではない。日本を「安全保障上の敵」だとしており、日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)にも強く反対。中国、北朝鮮寄りの姿勢で、日米韓の同盟を危機にさらす可能性すらある。一方で「資生堂のシャンプーを愛用し、寿司が大好物」とも伝わっており、表裏がある人物とも言われる。 来年は日韓国交正常化60周年。韓国大統領選が先か、李氏の有罪確定が先か。どちらになるかで、節目の年の日韓関係は大きく変わりそうだ。 ≪賄賂の供与など8つの事件で起訴≫李氏自身の疑惑としては、大庄洞の都市開発プロジェクトにおける賄賂の供与や、自身がオーナーを務めていたプロサッカーチーム「城南FC」の不法後援、北朝鮮への不正送金などがあり、これまで8つの事件で起訴されている。大庄洞開発の不正疑惑を巡っては、捜査を受けていたプロジェクト関係者が自殺。焦った李氏は関係者について「末端の職員なので知らなかった」と話したが、2人が映っている写真を遺族が公開したことで、虚偽発言として公職選挙法違反で起訴された。この関係者のほかに、開発に関わった4人が命を絶っている。 ≪尹氏出頭要請応じず≫韓国検察は15日、内乱容疑で捜査している尹氏に対し、事情聴取するため同日午前10時(日本時間同)にソウル中央地検に出頭するよう要請したが、尹氏が応じなかったと明らかにした。11日に要請していた。検察は16日にも改めて出頭要請を出す方針。「非常戒厳」宣言を巡り、検察は尹氏が内乱の首謀者とみて捜査。尹氏は、宣言は大統領としての統治行為だったと主張している。