「次の世代に残すのが私らの役目」“輪島塗“再起へ 仮設工房や2次避難先で踏み出した一歩
能登半島地震で甚大な被害を受けた輪島塗。発生から3か月が経ち、少しずつ再開の動きが出始めています。仮設工房や2次避難先など、それぞれの場所で踏み出した一歩を取材しました。 【写真を見る】「次の世代に残すのが私らの役目」“輪島塗“再起へ 仮設工房や2次避難先で踏み出した一歩 八井貴啓社長 「こことここと車で支えたという感じで、それで止まったけど、いつこっちにバンと倒れてきてもおかしくない状態」 輪島市横地町の大徹八井漆器工房。元日の地震で工房は全壊、輪島塗の「上塗り」や「中塗り」などを行っていた1階部分が潰れました。 八井貴啓社長 「作品はだいたい1割は助け出せましたけども、ちょうど倉庫が1階にあったのでほぼ全滅した状態ですね」 瓦礫の中からなんとか掘り出した作品や道具を車に乗せ、向かった先はおよそ6キロ離れた輪島市水守町。今月1日に開設された仮設工房です。仮設工房は全額、国の補助で輪島市が整備したもので、コンテナ型の2棟に25平方メートルの部屋が4室整備されています。 大徹八井漆器工房も1日に入居し、当面は作品の汚れを落とす作業や漆を研いで磨く工程を行います。 八井貴啓社長 「助かります本当に。これが工房から出て来た時はホコリやチリ、泥まみれだったんで、それを洗いたいんですけど水が無かったもんですから仮設工房で水で洗ってすぐ次の作業に移れるので」 「この3ヶ月、本当にもう仕事したくてしたくてする場所がなくて腕がうずうずしていたんですけど、やっと仕事が出来ると皆さん喜んでいます」 ようやく再開に向けて舵を切ることができた職人たち。さらに先日、希望の光と思える出来事がありました。 八井貴啓社長 「これは本当にデカいんでなかなかもう本当に出すのが大変で…」 倒壊した工房から掘り出した大きな桶。夏の強い日差しの下で漆を精製する「天日黒目作業」に使う桶です。この桶の中で職人たちが生漆を何度もかき混ぜながら水分を飛ばし、塗りの工程に欠かせない漆を作ってきました。 八井貴啓社長 「今もう作れないんですねこの桶が。これが一番重要な仕事の道具の一つなんで、本当にうれしかったですね。親父もこれをなんとか救い出せ救い出せと…やんややんやと言われてたんですけど、本当に2つとも無事に出てきたのでうれしいです。」