五輪エンブレム撤回 会見(1) 佐野氏「原作者の立場で取り下げたい」
昼夜問わず本人や家族に「誹謗中傷」
しかし一方で、一般国民の理解はなかなか得られないのではないかということについては1つの、永井さんのお話と同じように、われわれも共有する懸念である、大変難しいのではないかといったことをお話をいたしました。このようにそれぞれお話しした後で、いろんな意見交換といいますか協議をいたしましたが、佐野さんからは、私はデザインが模倣だと、模倣であるから取り下げるということはできない。しかし、模倣ではないけれども、いろいろな、昼夜等を問わず佐野さんの本人および家族にいろんな、彼の言葉によれば誹謗中傷がなされるということが続いていると。 それから第二に、自分はデザイナーとしてオリンピックに関わるということが憧れ、夢であったけれども、今や一般国民から受け入れられないということで、むしろオリンピックのイメージに悪影響を及んでしまうということを考えると、一つ、法律的な問題でちょっと分かりにくい話なんですけども、原作者・佐野さんのあのエンブレムは当選と同時に組織委員会の所有物になっております。ですから原作者としての立場なんですね、所有者としての立場ではない。しかし原作者として提案を取り下げたいというお話がありました。われわれは、佐野さんはどうも所有権が今や自分にはないので、自分が取り下げることは難しいというようなこともおっしゃっていたらしいんですけども、しかし原作者としての立場で取り下げたいというお話がありました。 われわれもそのお話を聞いて、そうであれば取り下げたほうがいいのではないかと、永井さんも取り下げたほうがいいのではないかと、3者一致いたしました。審査委員会は8名でありまして、あとの7名の方々にはそれぞれ電話等で連絡を取りました。1名は、これはまったく盗用ではない、デザイナーとしては盗用とは思われないのでなんら臆することなく続けるべきだと言う方が1名おりましたが、残りの方々は取り下げやむなし、ないしは永井委員長に対応を一任しますという対応でありました。 そこで、審査委員会、組織委員会、佐野さんのご判断というものを尊重して、エンブレムを取り下げて、新たなエンブレム開発に向けたスタートを切るということが事態の解決にふさわしい選択ではないかということを判断するに至りました。本日4時から調整委員会、ご承知のとおりオリンピック・パラリンピックに関する最高責任者の集まる、これは遠藤オリンピック・パラリンピック担当大臣、森会長等々、都知事、お集まりの6者会合でございますけども、そこに報告して、取り下げるということについてのご了承をいただきました。 このような事態になったことに対しては、国民の皆さま方に大変ご心配をお掛けし、それから、関係する東京都、政府、JOC、JPC、IOC、IPC等の関係者に大変申し訳ないというふうに思っております。また、このエンブレムを積極的にご使用いただいて、組織委員会に対して応援してくださっておりますスポンサーの皆さま方、各社の皆さま方、大変なご迷惑をお掛けいたしました。スポンサーの皆さま方には文書によるご説明のほか、直接お会いして個別に報告し、今後の対応について話し合い、ご理解を得たいというふうに思っております。 組織委員会としては、このような結論を得ましたので、直ちに新しいエンブレムの選考に入りたいと思います。取り下げた今日のことでございますから、その具体的な方法についてはまたあらためて発表したいと思いますけども、基本的な考え方としては、やはり公募を大前提にしたいというふうに思います。これは専門的なデザイナーに委託する方法等もあるわけでございますけれども、今回のエンブレムを決めたときの考え方、公募がふさわしいだろうという考え方は承継して、公募を前提にしてまいりたいと思います。 それから、今回のこの経験から、より開かれた選考過程というものをなんとか工夫し、検討してまいりたいと思っています。それから、これはスポンサーの皆さま方には、今までのエンブレムというものをこれから取り下げる、撤回するその手続きにお入りになるということで、大変なご迷惑を掛けるわけでありますけども、できるだけ早く次の新しいエンブレムを決定していきたいというふうに思います。 私どもとしては、このようなやり方を工夫いたしまして、広く国民の皆さまに、東京大会を象徴するエンブレムとして国民の皆さまに広く愛される、支持される、そういうエンブレムを作ってまいりたいというふうに思っております。私からはまず、以上でございます。 <(2)に続く>