オススメ 年末年始に楽しめる劇場映画&配信作品 Part 01
年末・年始に楽しんでもらいたい劇場公開作品、動画配信サービスで観られるおすすめ作品をご紹介。 今回取り上げるのは、劇場アニメーション、配信オリジナルのドラマシリーズと映画の3本。想像力の大切さを知るアニメ、ハラハラドキドキの連続の刑事ドラマ、巨匠たちが制作プロデュースする偉人の伝記もの、これら全てに映像作品の醍醐味を感じることができる。さて、あなたはどれがお好みですか?
『屋根裏のラジャー』( 公開中 ) 私たちは見えなくなったのか、見てないだけなのか
子どもが遊ぶ姿を見ていると、ハッと驚かされることがある。その思いがけない発想は、大人が持ち合わせてしまった先入観を軽々と飛び越えていくように思えてしまう。本作は、そんな子どもの頭の中をのぞいているかのような躍動感に溢れたシーンで始まる。 『屋根裏のラジャー』は、スタジオポノックがイギリスの児童小説「ぼくが消えないうちに」を映画化した長編アニメーション最新作。少女・アマンダが生み出した想像の友だち(イマジナリフレンド)・ラジャーを主人公に、現実と想像が交錯する世界で起こる冒険を描くファンタジーだ。このように書くと、よくある子ども向けの映画、と思われるかもしれない。でも、ぜひ大人にも観てほしい。 まず、お伝えしたいのは、日本アニメの新たな映像表現。手描きによるキャラクターにはフランスのデジタル技術によって、質感と陰影が与えられ、美しい背景美術と相まって物語にさらなる奥行きを生み出している。 その映像表現は、わたしたちに想像力の可能性を突きつける。本編中、ラジャーを追い詰める悪役が言う。「想像は現実に勝てない」と。それならば、想像の友達を忘れ去り、見えなくなった大人の私たちに何が響くのだろうか。 考えてみれば「見えなくなった」のは、ただ私たちが「見ていない」だけかもしれない。その想像力は過去のものではなく、今も私たちのそばにあって、私たちに"気づき"をもたらそうとしているのではないだろうか。 本作は、現実の厳しさを突きつけてなお、想像が持つ力とその可能性を、大人も信じたい、信じる必要があると思わせてくれる。