マスターズの勝負が決する「18番ホール」はなぜ難しい? コースレイアウトから紐解くプロたちのマネジメント
現在開催中の海外メジャー「マスターズ」。その舞台となるオーガスタナショナルGCのなかでプロゴルファー・兼濱開人が注目ホールに挙げたのは最終18番。レイアウトからマネジメントまで、詳しく解説してもらおう。
マスターズの舞台「オーガスタナショナルGC」は昔からドローヒッターが有利だと言われてきたコース。しかし一昨年に勝利したスコッティ・シェフラー、そして昨年のジョン・ラームとフェードヒッターの優勝が続いている。 コースレイアウトを見てみると「たしかに11番から13番のいわゆるアーメンコーナーを始め、バック9の多くはドロー有利なレイアウトと言えます」と兼濱。一方で明確にフェード有利と言えるのが、勝負を決する18番ホールだ。
「18番は465ヤード、パー4の右ドッグレッグ、しかも打ち上げなのでヤード数以上に距離を感じる難ホールです。コーナー部分の左サイドには縦に2つのバンカーが並んで設置されていて、1つ目が298ヤード地点、2つ目が314ヤード地点にあります。このバンカーを避けつつ、コーナー右サイドにある林が次のショットの邪魔にならないように狙う必要があるため、フェードボールがマッチしているホールと言えますね」(兼濱、以下同) しかもフェアウェイバンカーに捕まってしまうと、アゴが高いためグリーン面を視認できず、しかも打ち上げのシチュエーションで、砂の上から約150ヤードの距離からグリーンオンする必要が出てくる。「過去にはローリー・マキロイがフェアウェイバンカーからグリーンに乗せていましたが、えげつないくらい恐ろしい技術力です」とのこと。 加えて、グリーンの難しさも屈指のものだという。 「縦に伸びたグリーンには大きな段差があり、グリーン奥側が高く、手前側が低くなっています。ピンと同じ面に乗せられなければ3パットもザラで、同じ面に乗せられたとしても下りのパットが残ってしまうと、3メートルの距離からでも3パットがあり得るくらい難しいですね」 ピンと同じ面に乗せるためには、長い番手ではなくグリーン上でもしっかり止まるミドルアイアン以下の番手で狙いたいところ。するとティーショットで距離をしっかり稼ぐ必要があり、ドライバーで前述したコーナー付近の障害物を超える、あるいは狭いフェアウェイを正確に狙う必要があるわけだ。 「打ち上げでグリーン面が見えないなかで、ピンと同じ面に乗せられる距離感覚が必要ですし、それを達成できる距離までティーショットを打たないといけません。でもドライバーを右に外したら林が邪魔で、左サイドにはバンカーがあって、フェアウェイの狙いどころが狭いんです。基本的にはより難しいグリーン周りをセーフティにプレーするために、距離を出せるクラブを選択してティーショットでリスクを取らないといけないのが、このホールを難しくさせている点ですね」 18番に限らず、選手たちの飛距離の増加やそれに伴うコース改修の影響で「持ち球がドローでもフェードでも関係ないホールより『これはフェードじゃないと厳しい』という、ドローでランを稼ぐより正確に狙っていきたいホールがいくつかできてきています」と兼濱。 「18番はドライバーでちゃんと良いポジションに打てるか、そして良いポジションからピンと同じ面に乗せられるかってところが見てる上で注目ポイントですね」 協力/学芸大ゴルフスタジオ
みんなのゴルフダイジェスト編集部
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