「人材の獲得競争も起きている」 15年目の地域おこし協力隊は曲がり角 応募がほぼない自治体も…乏しい定着支援、コロナ後の出社回帰も影響か
テレワーク 地方でお金が回るよう「人」への投資
近年では新型コロナの感染拡大を背景に、テレワークの普及など新たなライフスタイルの広がりを東京一極集中の是正につなげる動きもあった。佐久市は20年4月、国の地方創生交付金を活用してコワーキングオフィス「ワークテラス佐久」をオープン。指定管理者として施設を運営するまちづくり会社「MoSAKU(もさく)」の柳沢拓道(たくじ)社長(39)によると、月額会員はオープン当初の約10人から1年で約50人に増えた。 ただ、新型コロナが落ち着き、企業には出社回帰の動きもある。柳沢さんは「現在の会員数はほぼ横ばい。出社の必要がないフルリモートの会社員から、フリーランスで仕事をしている人たちに移り変わってきた」と説明する。 自身も移住者の柳沢さんは「地方にスキルを持ったプレーヤーがいないと、自治体が東京のコンサルタント会社などを頼れば、国からの交付金は流出してしまう」と指摘。地方の中でお金を回せる受け皿づくりが必要とし、「政府はチャレンジしている『人』への投資に力を入れるべきだ」と訴える。(岩安良祐、園田琢磨)
【地域おこし協力隊】
2009年度に始まった総務省の事業。都市部から過疎地域などに住民票を移し、生活の拠点を設けた人に対し、地方自治体が隊員を委嘱する。任期はおおむね1~3年。全国の隊員数は09年度に89人だったが、23年度には7200人に増加。県内では本年度、70自治体で430人が活動し、累計で3505人となった。全国で6割超が地域に定住しているという。