「木を切る改革」大阪市が市民の反対押し切り街路樹伐採を強行
市側「最後は行政が判断」
一方、公園樹撤去をめぐって協議が続いているのは、扇町公園(北区)のケヤキ、クスノキ、イチョウなど計56本。市の説明会は1月に続いて2月末にも開かれたが、市民側が納得できる説明がないまま協議は12時間半に及んだ。 5月24日に3回目の協議が扇町公園事務所で開かれた。参加者30人、協議時間2時間に制限された中で、市民らから「遠足の小学校どうしで木陰の取り合いになっている。樹木が切られると熱中症が心配」「市民の共有財産である樹木を行政の判断だけで伐採していいのか」などの意見が相次いだ。 こうした意見の中で最も疑問視されているのが、樹木医の健全度診断で「保存」「剪定」と判定され「伐採」の必要性がないとされた24本が撤去対象になっていることだ。撤去理由について市側が「樹皮欠損や腐朽、根上がり、植栽環境など総合的に判断し、将来的なリスクを考えた」と繰り返すのに対し、市民らは撤去判断の基準を提示するよう求めた。市側は基準について説明できないまま、松本直己・扇町公園事務所長が「協議は続けるが、最終的に行政が判断する」と述べ、強硬姿勢を変えなかった。 協議後の会見で、筆者は「健全な木まで切る維新市政の『木を切る改革』と揶揄されているが、どうして市民の意見を取り入れて見直すことができないのか」と質問。松本所長は「市民に選ばれた議員による議会で決まったことを実行するのが民主主義だ」と言明した。
平野次郎・フリーライター