バンタム挑戦の井上尚弥が抱く野望とは?「ネリ退治と13度防衛記録」
プロボクシングの世界2階級制覇王者、井上尚弥(24、大橋)が5月25日(金)に東京・大田区総合体育館でWBA世界バンタム級王者、ジェイミー・マクドネル(31、英国)に挑戦することが6日、九段下のグランドパレスホテルで発表された。15勝(13KO)の井上は無敗のまま、国内5人目となる3階級制覇を狙う。井上が王座を獲得すれば井岡一翔(27)の18戦目を抜き史上最速での3階級制覇となる。マクドネルは2015年に元WBO世界バンタム級王者の亀田和毅(26、協栄)と2度対戦して共に判定勝利している。
この日、スリーピース姿で会見に出席した井上は、「モチベーションが上がった。ファンにとってなじみのある階級で、僕にとっても小さい頃から見ていた階級。そのステージで戦えることが楽しみだし、バンタム初戦から、こういうチャンピオンと対戦できることに満足。やりがいを感じる」と興奮気味に話した。 減量苦と同時に、当初、ターゲットにしていた無敗のローマン・ゴンザレスが黒星を喫し、プロモーターの関係などで、統一戦実現も難しくなり、7度防衛したスーパーフライでは、もはや戦う相手がいなくなっていた。モチベーションを失いかけていた井上にとって、バンタム転級は悲願であったけれど、その初挑戦の相手が6連続防衛中の元2団体王者なのだから闘争心が掻き立てられるのも当然だ。 米国で権威のあるボクシング専門メディアの「リング誌」が、団体の枠を超えて発表しているバンタム級のランキング(2月25日時点)では、マクドネルは2位(この時点でチャンピオンは元WBC同級王者の山中慎介、1位はWBO同級王者のゾラニ・テテ)にランクされている。 近代ボクシング発祥の地である英国では空前のボクシングブームが起きている。自国で十分に興行ができるため、日本に、その英国のチャンピオンを呼ぶことは容易ではなかったのだが、大橋会長は、「よく来てくれることになりましたよ。電光石火。相手も世界的にネームバリューのある尚弥を倒して、さらに評価を上げたいんでしょう。自信もあるんだろうね」と言う。 マクドネルのエディー・ハーン・プロモーターは「井上はスーパーフライ級で非常に素晴らしい選手だ。ジェイミーにとっては厳しい試合だが、彼は最高の相手との試合に臨みたいんだ」とコメントを寄せた。 だが、井上にとってこのタイトル戦は通過点に過ぎない。その向こう側に野望がある。 この階級にとどまり、具志堅用高氏が持つ13度の日本最多連続防衛記録を塗り替えることと、4団体の王座統一。そこには、当然、山中慎介を体重超過の反則行為を使ってTKOで下した元WBC同級王者、ルイス・ネリ(25、メキシコ)“退治”も頭に入っている。 「この階級では、具志堅さんの13度の記録を更新したい。当然、そうなると統一がある。まずWBAには、上にスーパー王者がいるのでね。そこもスッキリさせたい」