「劇場は生きている」マンゲキ10周年ライブで思ったこと
若手芸人が腕を競う大阪・よしもと漫才劇場。お笑いのシンボル、なんばグランド花月(NGK)のすぐそばに立地する劇場は連日、若いファン(女性が多い)でにぎわっている。関西のお笑いファン以外にはあまり縁のない劇場かもしれないが、このほどオープンから10周年を迎えた。 10周年を記念して月イチで開催されるのが「プレミアムライブ」。12月18日には、第1弾としてシカゴ実業の主催ライブ「濁(にごり)」が上演された。出演メンバーはシカゴ実業の他、ニッポンの社長、隣人、ビスケットブラザーズ、kento fukaya、20世紀、らいおんうどん、めっちゃ。予定ではロングコートダディと豪快キャプテンも出るはずだったが、堂前と山下ギャンブルゴリラが体調を崩し休演、ダブルヒガシとジョックロックが代演を務めた(ロングコートダディの兎、豪快キャプテンのべーやんはクイズコーナーのみ出演)。 客席は立ち見も出る超満員。シカゴ実業、ニッポンの社長、ビスケットブラザーズ(ロングコートダディも)らはすでに大阪を離れ、東京中心の活動に変わっているため、これだけの面々がマンゲキに集結するのは久々の同窓会ムードで盛り上がった。公演後、シカゴ実業・中川ひちゃゆきは「10周年の第1弾にこのライブが選ばれてうれしい」と素直に喜び、隣人・橋本市民球場は「濁にはお世話になりました」と感謝を語った。 このライブを見て、改めて感じたのは「劇場は生きている」ということ。マンゲキでは連日、さまざまな公演が行われており、出演者もどんどん入れ替わっている。当然、演じられるネタも変化し、それを楽しむ観客の反応も日々変わってくる。まさに一期一会。「その日でしか見られない」ライブこそ、劇場の魅力であり生命線なのだ。 昨年春に活動拠点を大阪から東京へと移したニッポンの社長・辻は「久々に大阪に戻ると、マンゲキに知らない顔が増えている。でも、笑いのレベルはむしろ上がっており(結成2年半でM-1決勝進出した)ジョックロックのような新しいコンビが出てきた」と、古巣マンゲキの成長に目を見張る。 10周年プレミアムライブは、第2弾として「プラチナ5 大阪13発目ライブ」が1月6日に控えている。出演はダブルアート、ツートライブ、アイロンヘッド、バンビーノ、ミキ。2015年からマンゲキで上演されていた「プラチナ5」だが、今このメンバーが大阪で見られるのは貴重なチャンスだ。その後も「懐かしライブ」が月イチで復活するという。 来年もまた、劇場に足を運ぶ機会が増えそうだ。【三宅敏】(ニッカンスポーツ・コム/コラム「ナニワのベテラン走る~ミナミヘキタヘ」)