飯田の「おひさま進歩エネルギー」、創立20年記念でシンポジウム開催へ
12月で創立20周年を迎える「おひさま進歩エネルギー」(飯田市鼎下茶屋)が12月5日、「地域エネルギーの課題と可能性」をテーマに飯田市公民館(飯田市東和町)でシンポジウムを開催する。(飯田経済新聞) 【写真】おひさま進歩エネルギー20周年スタッフ集合写真 同社は2004(平成16)年12月、環境省に選定された飯田市の事業を担う民間企業として、NPO法人「南信州おひさま進歩」が母体となって設立。翌年5月、全国初の大規模な太陽光発電の市民出資による「南信州おひさまファンド」を立ち上げ、延べ476人から2億150万円を集め、飯田市の公共施設屋根を借りてパネルを設置し発電事業をスタートしたのが始まり。市民からの出資金を元に「創エネルギー」「省エネルギー」を展開するほか、太陽光発電等の発電状況を見守る遠隔監視システムの開発「グリーン電力証書」の販売などを行う。 菅沼利和社長は「20年前、当社の取り組みは全国でも先進的だという見られ方だった」と創業時を振り返る。「今は20年前に比べ地球温暖化に対する意識が変わってきている。脱炭素に向けた環境産業の関心が高まっているのを実感している」とも話す。国によるFIT(固定買取制度)の広がりや、2050年ゼロカーボン宣言、千曲川氾濫による長野県の気候危機突破宣言などもあり、CO2削減目標が明確化したことについては、「今後を見据えていく上で中間目標である2030年の目標までが高い目標だと気付かされている。そんなに簡単には達成できそうにない。もっと劇的に出力を増やさないとゼロカーボンには追いつかない」という。「民間と行政が協力して実行できる計画を手伝うなど、これからの10年に課せられた問題を克服したい」と先を見据える。 シンポジウム当日は、京都大学大学院経済学研究科教授の諸富徹さんが「地域エネルギー事業の課題、持続可能な地域づくりに果たす役割」をテーマに講演をするほか、全国の地域で再生エネルギー事業を展開するパネリストを迎えて「地域脱炭素に向けた再エネ事業と人づくり」をテーマにディスカッションを行う。菅沼社長は「全国で活躍するソーラーシェアリングや小水力発電などの第一人者が飯田に来て再エネ事業の話が聞けるまたとない機会」とアピールする。 シンポジウムの最後には、小さな行政や企業だけではできない地域の課題を克服するために必要な中間支援組織を作る動きがある中、NPO法人「気候ネットワーク」主催で脱炭素地域づくりのための中間支援に関するディスカッションも行う。 開催時間は13時30分~17時45分。定員は120人。オンラインでの参加希望者は要事前申し込み。
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