神山健治監督、「ロード・オブ・ザ・リング」アニメ化作品に自信! 実写3部作を初めて観た衝撃を「もう一度体験してほしい」
「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズ初となるオリジナル長編アニメーション映画「ロード・オブ・ザ・リング ローハンの戦い」の製作報告会見が10月11日、都内で行われ、神山健治監督とプロデューサーのジョセフ・チョウが出席。神山監督が「とにかくすごい、『見たことないぞ』というものをみんなに見てもらいたい思いで作った」と自信をのぞかせた。 本作は、J・R・R・トールキンによるファンタジー小説「指輪物語 追補編」の一部である、ローハンの最強の王ヘルムについての記述をふくらませたオリジナルストーリー。「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズを手がけたピーター・ジャクソンが製作総指揮、「東のエデン」「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」「精霊の守り人」で知られる神山健治が監督を務め、「Studio Sola Entertainment」がアニメーション制作を担う。 「適任者はどう考えても神山監督しかない」とチョウ氏から全幅の信頼を寄せられた神山監督は、「これは大変なことになると思いました」とプレッシャーを感じつつも、「『ロード・オブ・ザ・リング』の3部作は本当に大好きな映画。いちファンという気持ちで観ていました。それを映画として作れるのかと思うと、大変だろうというよりも喜びが上回った。『ロード・オブ・ザ・リング』を監督できるなんて、こんなチャンスは生涯でもなかなかないだろうと。これはやるべきチャレンジだなと思った」とオファーにワクワクしたと振り返る。 「ロード・オブ・ザ・リング」3部作に繋がる200年前の伝説の戦いを描く本作で主人公となるのは、若き王女ヘラ。彼女の父であり偉大な王ヘルムの守護のもと、誇り高き騎士の国ローハンは長らく平和を享受していたが、ヘラの幼なじみであるウルフが敵として現れ、王国の平和が脅かされる。 神山監督は「トールキンの原作では、ヘルム王には『3人のきょうだいがいて、その末っ子は娘だった』という記述がある。原作には名前もないけれど、その娘を主人公にすることで、映画オリジナルのエピソードを膨らませられると思った」とストーリーについて解説。実写映画3部作との繋がりにもこだわったそうで、「映画を観てきたファンの人からすると『こんなところにこんな仕掛けがあるのか』と、ニヤッとするようなものを仕掛けられた。1本の映画ではあるけれど、3部作とも繋がっている世界観の広がりができた」と充実感をにじませる。 実写3部作のファンだという神山監督だけに、「3部作を観た時に、ものすごい映像を観たと思った。あの体験をもう一度してもらいたいという思いがあった」と同シリーズを観た時の衝撃や感動を再び味わってもらうことが大きなテーマとなり、「使えるものはなんでも使おうと思った。最終的には手描きのアニメーションにしています」と手描きアニメの手法を選択。まずモーションキャプチャーのアクターに演じてもらい、続いて3Dのキャラクターに置き換えて作成。さらにそれをベースに手描きアニメに起こしていくという段階を踏み、全カットの演出を手掛けた神山監督は「この映画を3回、監督したような感じ」と過程に思いを馳せ、思わず目尻を下げた。手描きにしたことで、「生々しさというか、3部作を初めて観た時と同じようなエネルギーになっているなと感じた。実写が持っている力強さみたいなものが、アニメーターたちが心を込めて描いた絵に宿っている」とキッパリ。「共通のものをひしひしと感じました」と壮大な映像で全世界を驚かせた「ロード・オブ・ザ・リング」をアニメ化する上では、手描きという手法がぴったりだったと語る。 チョウ氏は、日本のアニメーションは全世界に誇れるコンテンツだと力を込め、「全世界的に大成功した映画を、日本のアニメを通して表現できる。とても光栄」としみじみ。「『ロード・オブ・ザ・リング』のファンの皆さんにも楽しんでいただきたい」と期待した。スタッフの情熱と「ロード・オブ・ザ・リング」の持っているパワーが注がれていると話した神山監督は「とにかく観ていただきたいという気持ちでいっぱい」とあふれる思いを口にした。また会見では、中村悠一、坂本真綾、斧アツシ、森川智之、入野自由、山寺宏一、沢田敏子、大塚芳忠、飯泉征貴、勝部演之ら、吹替版キャストの追加発表も行われた。 「ロード・オブ・ザ・リング ローハンの戦い」は、12月27日全国公開(吹き替え版、字幕版同時公開。一部劇場除く)。