桂宮治 コロナ禍で気が付いたお客さんのありがたみ
黒木瞳がパーソナリティを務めるニッポン放送「黒木瞳のあさナビ」(1月3日放送)に落語家の桂宮治が出演。落語の素晴らしさについて語った。
黒木瞳が、さまざまなジャンルの“プロフェッショナル”に朝の活力になる話を訊く「黒木瞳のあさナビ」。1月1日(月)~1月5日(金)のゲストは落語家の桂宮治。2日目は、コロナ禍で気付いたことについて― 黒木)30歳まで落語を聞いたことがなかったけれど、あるとき「落語なら好きになれる」と思ったそうですね。 桂)YouTubeで本当にたまたま枝雀師匠の「上燗屋」を観たときに、「こんな面白い芸能が世の中にはあるのか」と思いました。それまでは営業マンをやっていて、たくさんのお客さんに集まっていただき、その人たちに商品の説明をしていました。しかし、自分はその方々を幸せにできているのか、いらないものを無理やり買わせようとしているのではないか、という葛藤がありました。 黒木)セールスをされていた時期に。 桂)そのとき枝雀師匠を観て、同じ喋る商売で同じ人間なのに、こんなにいろいろな人を楽しませている。みんな「きょうは枝雀さんに会えてよかった」と思って帰るのだろうなと考えたら、やりたくて仕方がなくなったのです。「お金を稼げなくても、食べられなくてもいいからやりたい」という感情になってしまった。あれが枝雀師匠でなかったら、落語家になっていなかったかも知れません。本当に出会いだなと思います。うちの師匠に出会えたのもそうですし、枝雀師匠の映像を見つけられたことも、「神様ありがとう」という気持ちです。 黒木)しかも奥様の「好きなことをやっていいよ」という一言があった。自分が支えるからと。 桂)ありがたかったですね。いま中学生になった長女も、前座のうちに授かることができました。妻が子育てしながら仕事をしてくれていたのですが、やはり両立が難しかったですね。修業期間で私もほとんど家に居ませんから。前座期間が4年ちょっとあるのですが、3年目ぐらいで妻にも仕事を辞めてもらい、貯金を切り崩しながら生活していました。 黒木)前座時代に。 桂)だから、ひな祭りで娘にひな人形を買うときや、ビデオカメラを買うときなども、「どこからお金を集めてこよう」というような悩みがあったのを覚えていますね。 黒木)真打になったときも、「大丈夫か?」と師匠に言われたそうですが。