震度6以上の9割が阪神・淡路後 戦後80年間の国内地震 南海トラフ警戒、専門家「備えを」
戦後の80年間に日本で起きた震度6弱以上の地震は71回あり、うち約9割が阪神・淡路大震災の発生した1995年以降に集中していることが、気象庁の観測データで分かった。阪神・淡路以降、列島は地震の活動期に入ったとする見方がある。データも大地震の頻度が高まっていることを示しており、専門家は南海トラフ巨大地震などへの警戒を呼びかける。 【図解】阪神・淡路の活断層に「割れ残り」 兵庫県南部、30年以内にM7.9の可能性「やや高い」 0~7の8段階だった震度は96年、5と6にそれぞれ「強」「弱」を設けて10段階になった。耐震性の低い木造建物は「6弱」で傾いたり、倒れたりすることもある。 気象庁の震度データベースによると、45~94年の50年間に起きた震度6以上の地震は6回。それに対し、95年以降の30年間は65回もあった。 戦後最初の震度6は48年の福井地震。死者3700人以上で、これを機に震度「7」が設けられた。死者26人の新潟地震(64年)、津波などで死者、行方不明者約230人を出した北海道南西沖地震(93年)はいずれも最大震度5だった。 一方、初の震度7を観測した阪神・淡路大震災の後は、新潟県中越地震や東日本大震災、能登半島地震など震度7が頻発している。 震度判定は体感や被害調査をもとに行っていた時代もある。震度計はこの30年で約15倍増え、現在は約4400カ所。以前より計測できる地点が増えたのは確かだが、震度6を超えるような大きな地震は80年間を通しておおむね観測できていたとみられる。 神戸大都市安全研究センターの吉岡祥一教授(地震学)は「大きな地震による余震の数を差し引いても、この30年は明らかに活動が異なる」と指摘。「活動期の始まりが阪神・淡路だった可能性は否定できない」とする。 懸念は、発生確率が高まる南海トラフ巨大地震への影響だ。同地震は100~150年周期で発生を繰り返しているが、昭和東南海地震(1944年)、昭和南海地震(46年)は直前に千人以上が犠牲になる鳥取地震(43年)が発生。その前にも北但大震災(25年)や北丹後地震(27年)が起こるなど、列島で地震活動が活発になっていた。 吉岡教授はそうした過去の例を示し、「次の南海トラフ地震は、津波や火災、液状化などが同時に起こる広域複合災害を想定した備えが必要だ」と話す。 (名倉あかり)