「前髪をトサカの様におっ立てて」「安室奈美恵が人気に火をつけた極細眉」90年代は日本の女が“オトナ”になったのか
3.ラブコメから、セクコメSATCへ! 2000年韓流純愛ブームはその反動?
女性の意識はその時代時代最も影響力ある映画やドラマに無意識に左右されており、少なくとも今は韓国ドラマの影響で、純愛願望が湧き上がるも、受け皿がないからこそ推し活の時代になってしまったと言ってもいい。思えば90年代はラブコメ大全盛の時であり、ラブコメの女王と言われたのはもちろんメグ・ライアン。 最近はもっぱら美容整形疑惑の記事ばかりが目につき、かつての別格のキュートさとときめきが何だか切なく懐かしく思い出されるが、あのラブコメの軽やかさ自体、恋愛偏重時代の終焉を告げていたのだろう。 やがて時代は『セックス・アンド・ザ・シティ(SATC)』大流行でセクコメの時代へ。恋よりセックス、男より女友達という意識の芽生えを物語ったが、それも含めた反動で、明けて2003年には嵐のような冬ソナブームがやってきて、大人たちはついに劇症純愛モードへ。
4.太眉から針金細眉へ、かくも劇的に眉が変わった理由
眉で顔立ちは劇的に変わる。ある意味危険なほど変わる。90年代の眉変遷は事実危ういほどドラスティックだった。80年代後半は男女雇用機会均等法もあり、女も男並みに働く時代を象徴、眉は限界まで太くなる。 ところが90年代は突如針金級の弓形細眉に。バブル崩壊で、男たちに期待した私たちが馬鹿だったと言わんばかり、男に媚びない時代の証? ただどちらも似合う人を選ぶ眉、そういう試行錯誤を経て眉もバランスが取れてきた訳で、女の社会性も同じ。 キャリア女子も80年代90年代は今思えばやたらエキセントリックだったりしたはずだが、今は男たちよりバランスが取れていて優秀、そんな女の変遷まで眉は象徴しているのだ。 ●「雅子さまブームがもたらしたもの」「キムタク売れだった96年の伝説の口紅」「男に媚びない血まめネイルにドドメ色唇」など、コラムの全文は 『週刊文春WOMAN2024夏号』 でお読みいただけます。 さいとうかおる/美容ジャーナリスト。女性誌編集者を経て美容ジャーナリスト/エッセイストに。女性誌において多数のエッセイ連載をもつほか、美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザーなど幅広く活躍。著書に『美人だけが知っている100の秘密』など。
齋藤 薫/週刊文春WOMAN 2024夏号