最強セキュリティ装着の「R34スカイラインGT-R」がなぜ盗まれた? 窃盗団は一瞬の「スキ」をついて盗みに来る!!
以前にベストカーWebで取材し、有名ショップが施工していたセキュリティを装着したR34スカイラインGT-Rを盗まれる窃盗事件が2024年3月に発生した。なぜ強固なセキュリティが破られ、盗まれたのか。被害者に話を聞き、検証してみた。 【画像ギャラリー】最強セキュリティ「ゴルゴ」を装着していたのにもかかわらず「R34スカイラインGT-R」はなぜ盗まれたのか?(8枚) 文/加藤久美子、写真/加藤博人、日産、AdobeStock 2024年3月1日に警察庁から発表された「車名別盗難状況」(未遂を含まない盗難認知件数)によると、スカイラインの盗難台数は2022年が116台に対して2023年は71台と少し減ったものの、ワースト10に入っている旧車のスポーツモデルはスカイラインだけ。 2024年に入ってからもSNSでたびたびR34スカイラインGT-R盗難の報告が出てきている。スカイライン、特にR34GT-Rの盗難が増え始めたのは3~4年前からである。それは、34GT-Rの価格が高騰し始めた時期に重なっている。なぜ、高騰しているのか? ベストカーWebの読者の皆様ならご存じの方も多いと思うが、これは米国特有の並行輸入車のための「25年ルール」(製造年月日から丸25年が経過すると『FMVSS連邦自動車安全基準』の縛りがなくなる)が関わっている。 R34GT-Rは1999年1月に発売されたので25年後の2024年1月から合法的に米国輸入が解禁となる。右ハンドル車であっても破壊試験そのほか、諸々の試験を受けることなく輸入OKとなる(販売や登録に関しては州のルールが優先されるため輸入はできても販売や登録が困難なケースもある)。 映画『ワイルド・スピード』(The Fast & Furious)シリーズやクルマのゲームに日本製スポーツカーが多数登場することもあって人気急上昇。25年ルール解禁に向けて人気も価格も高騰している。それに合わせて残念なことに盗難も増えているのだ。
■2024年3月5日に盗難されたR34GT-Rは最強セキュリティを装着していたが……
そして増えつつあるR34GT-Rの盗難だが、2024年1月31日に千葉県野田市内で盗まれた「おもしろレンタカー」所有の白いR34GT-Rと、同時期に都内で盗まれた青いR34GT-Rの2台は盗難から約2~3週間を経た時期に、横浜港のコンテナのなかから奇跡的に発見されている。 2台とも2024年3月18日に横浜港の山下ふ頭にてそれぞれのオーナーに返還されており、この時はテレビの取材なども入っていたので筆者も立ち会ってコメントさせていただいた。 密輸される直前のコンテナ検査で盗難車が見つかることはこれまでにもあったが、その数は年間5台以下。ちなみにコンテナ丸ごとのX線検査は全数ではなく、わずかな台数しか検査対象となっていない。今回の発見は奇跡中の奇跡といえるだろう。 しかし、喜びもつかの間……同年3月5日夜にまたR34GT-Rの新たな盗難事件が発生した。場所は群馬県太田市。盗まれたR34GT-Rには国内最強といわれるユピテル製カーセキュリティ「GRGO」(ゴルゴ)が専門店A2Mでしっかり組まれていた。 以前、ベストカーWebでも取材させていただいたA2Mは開業から18年目を迎え、3000台以上を施工し、1台も盗難されたことがないという(バッテリー切断などのアタックは数件あるが盗難には至らず)。