ファイナルコンサートから16年、祖父・原信夫の音楽を再び
帰国すると、様々なアーティストから声がかかり、さだまさしさんや、三代目J SOUL BROTHERS、Little Glee Monsterなどのツアーに同行し、いまでは人気ギタリストとして活躍しています。 「祖父の支援がなかったら、今の僕はなかった」とゆうまさんは言います。 その祖父・原信夫さんは、3年前の2021年に、94歳で亡くなりました。訃報がニュースで報じられると、「作曲の権利」や「映像の使用許可」などの問い合わせが、ゆうまさんの元に寄せられるようになります。
さらに膨大な楽譜を、誰が管理するのか……。すでに事務所は閉じられていたので、引き継ぐ人がいませんでした。 「音楽は文化ですし、戦後のビッグバンドが残した貴重な楽譜を、きちんと残さないといけない……。同じミュージシャンとして見逃せなかったんです」 2年前、ゆうまさんは、株式会社HARA Music Japanを設立。貴重な譜面を、後世に残すためにデータ化しているとき、譜面が汚れていたり、破れていたり、鉛筆の書き込みもあって、 そんな譜面を見ているうちに、「いま使わないと意味がない!」と強く感じるようになり、これがキッカケで、ゆうまさんは、「シャープス&フラッツ」の再結成に向けて動き出します。
ファイナルコンサートから16年が経った今年、11月2日、今週土曜日に、東京・有楽町の「アイマショウ」で、「原信夫とシャープス&フラッツ 復活コンサート」が開催されます。会社を設立したものの、小さな事務所ですから、コンサートの日程、メンバー17人のスケジュール調整、リハーサルスタジオの予約、演奏の曲目を決め、17人分の譜面を用意、チラシ制作、物販の準備、お弁当の手配など、ほぼすべて一人でこなしています。 「このコンサートでは、新しいことをやろうとは考えていません。昭和のスタイルそのままに、17人が同時に繰り出す生のサウンドを、懐かしく感じる方も、まったく知らない若い世代の方にも、聴いてほしいんです。その架け橋に僕がなれたらと思っています」
原ゆうま(YUMA HARA)さんと共に、17人のビッグバンドを乗せた“列車”がいま、出発しようとしています。