窪田正孝の笑顔がズルい…"藤竹"の予想を超えた胸アツ展開とは? NHKドラマ『宙わたる教室』第6話考察レビュー
自分の価値を証明したい…。
幾度目かの科学部と丹羽の会話の最中、丹羽が慌てて帰ろうとする瞬間があった。様子のおかしさを見逃さなかった岳人があとをついて行くと、家で暴れる丹羽の弟の姿を目の当たりにする。 固まって動けなくなってしまった丹羽を横目に、止めに入る岳人。丹羽が高校入試で思うような結果が出せなかったのは、弟が暴れたことが原因だった。 丹羽は、岳人に人を殴るってどんな感じなのかと尋ねる。岳人は殴ったことないのか、と驚きながら、弟が家のものが壊れるくらいに暴れるのは、家族を殴らないためだと話す。家族を殴ったら、自分も壊れてしまう。 「自分を守るために、代わりにものをぶっ壊す」「誰かを傷つけたいんじゃない、きっとその逆だ」 そう語る岳人を演じる小林虎之介の目は、初めて顔を合わせた丹羽に数式の意味を問いただすときの真剣な眼差しとは正反対の、優しく円い目をしていた。 それに感化されたように、丹羽は情報オリンピックに入賞しさえすれば、自分の価値を証明できると思ったことを語りはじめる。黙って聞いていた岳人は、お前はプログラミングが好きだから真剣なんだろうと言葉を返した。 この一件をきっかけに、丹羽はコンピューター室を実験に使用することを了承する。 藤竹が科学部の部員たちに向ける真剣さ、岳人と丹羽が自分の目標のために努力する真剣さ。それぞれに種類は異なるが、真剣な思いは人を動かす。 科学部のことを笑う後輩たちを「お前たちが笑うな」と丹羽がたしなめたのは、岳人たちの真剣な思いを受け取ったからにほかならない。 【著者プロフィール:あまのさき】 アパレル、広告代理店、エンタメ雑誌の編集などを経験。ドラマや邦画、旅行、スポーツが好き。
あまのさき