一球の重み胸に 長崎日大、昨春の雪辱誓う センバツ出場校紹介
長崎日大は2年連続4回目の出場となる。昨秋の九州地区高校野球県大会は5試合で51安打33得点を挙げ優勝した。九州地区大会は決勝で沖縄尚学に敗れたものの、4試合で43安打。攻守のバランスの良さが光った。
投手陣は2枚看板
23年ぶりに出場した昨春のセンバツは一球の重みと1勝の難しさを突きつけられる大会になった。1回戦の近江(滋賀)戦で2点リードの九回に2死から追いつかれ、延長の末に敗れた。平山清一郎監督は「あと一歩で勝利を逃し、一球の怖さを選手たちが目の当たりにしたと思う」。教訓を生かすべく、目の色を変えて取り組んできた。
投手陣はともに防御率1点台の西尾海純(1年)、広田樹大(2年)の2枚看板。西尾は最速141キロの直球が持ち味の本格派だ。冬場に下半身強化を図り、球威が増した。左打者に効果的だったフォークボールの精度向上にも取り組む。広田はスライダーやチェンジアップなど変化球が投球の主体。ボール球の使い方やけん制もうまい。右肩を痛めた影響もあり、昨秋はエースナンバーを後輩の西尾に譲っただけに「悔しかった。甲子園では自分が」と人一倍練習してきた。
強肩捕手が攻守の要
平山監督が「このチームが上に上がれたのは彼のお陰」と絶大な信頼を寄せるのが捕手の豊田喜一(2年)だ。強肩でスローイングがいい。昨春の九州大会でマスクをかぶり、「心の余裕が生まれた」。判断力やリード面に磨きがかかり、潜在能力の高さに経験値が加わった。時間さえあれば大学、高校の試合の動画を見て勉強を重ねる。 九州地区大会では1回戦で文徳(熊本)を接戦で降し、準々決勝の日本ウェルネス(沖縄)戦は全員安打でコールド勝ち。準決勝では先発の西尾が大分商を八回まで散発6安打に抑え、打線は下坂聖磨(2年)の適時打、坂本直隆(2年)の適時二塁打などで着実に得点した。決勝は沖縄尚学に敗れたが、九回2死から豊田の適時打で追い上げるなど粘り強さを見せた。
冬場の練習では、走者を置いた実戦形式のシートノックで守備に磨きをかけ、ウエートトレーニングにも余念がない。沖縄尚学戦に先発して9安打を浴びた広田は「強打者を相手にストライクゾーンで勝負できる球威を身につけたい」と体作りに励む。豊田らも「全国トップレベルの投手を全員で打ち崩す」と地道にバットを振り込む。主将の平尾大和(2年)は「甲子園では、感動を与えるプレーをしたい」と意気込む。
OBに大瀬良大地(広島)ら
長崎県出身の法学者で元日大総長の故永田菊四郎氏が1967年、諫早市に設立。校訓は「至誠・勤労・創造」。普通科とデザイン美術科で男女1285人(2022年12月1日時点)が学ぶ。サッカーのワールドカップ(W杯)カタール大会で8強入りした日本代表の森保一監督は卒業生。柔道部は東京オリンピック柔道男子金メダリストの永瀬貴規らを輩出した。 野球部は開校と同時に創部。甲子園には春3回、夏9回出場し、07年夏は4強入りした。22年春のセンバツは準優勝した近江(滋賀)と1回戦で対戦し、延長十三回の激闘の末に敗れた。OBに広島の大瀬良大地らがいる。