GWも終わり「仕事やらなきゃ」「でも、やる気出ない」人のための最強取説 動けない現代人のための「心の勢い」の作り方
2つ目の特徴は、こうした状態から抜け出すことを目指す本書が、「マインドフルネス」と「モメンタム」の観点から書かれているということ。 ■「マインドフルネス」と「モメンタム」 もはやすっかりおなじみだと思うが、マインドフルネスは、「瞑想」などを通じて「いま、この瞬間」に意識を向けようという概念。そうすることで、脳の疲れが癒やされ、心のモヤモヤやイライラが晴れるなど、心を落ち着かせることができるわけである。
川野氏と恩田氏は、そんなマインドフルネスを「人生を健やかに生きていくための、叡智のかたまり」であると考えているそうだ。 一方の「モメンタム」は、「パッとしない状態」から心を引っ張り上げ、さらに活力を与えるような心的エネルギーのことを指すという。「心を落ち着かせる」のがマインドフルネスなら、「心を勢いづかせる」のがモメンタムだということ。要するに、これらは「2つでひとつ」のものだと考えられる。 だが、なにかと有名なマインドフルネスにくらべ、モメンタムはいまひとつ認知度が低いような気がしなくもない。そこで、ここでは有名なマインドフルネスはとりあえず置いておき、モメンタムについての考え方を確認してみることにしよう。
■足りないのは「やる気」より「勢い」 本来、モメンタムは物理学における運動量や推進力を示すことが多い。また投資の世界では、「モメンタムが上向きだ」「モメンタムが弱まっている」など、相場の勢いを指したりもする。あるいは日常生活において、「勢いでなにかをした」際に使われるケースもあるかもしれない。 とはいえ厄介なのは、その一方に「すぐ動けない自分」がいることも少なくないという事実である。しかもそれは「だから自分はダメなんだ」というような思いにつながりやすいため、動けない自分を認めたと同時に気分が落ち込んでしまう可能性もあるだろう。
でも、私たちはこうも思うのです。やる気があってもなお、やる気に火をつける「着火剤」を、私たちの心は必要としています。着火剤がなければ心の勢いは生まれず、電話一つかけるのだって苦労します。逆に、心に勢いがあれば、さまざまな理由で行動をためらいがちな私たちを、前へ前へとプッシュしてくれるでしょう。それは、仕事や人生を大きく好転させる力になるに違いありません。(25ページより) ちなみにモメンタムの効果にいち早く注目したのは海外のビジネス界であり、たとえば生成AI「ChatGPT」を開発したアメリカの起業家、サム・アルトマンもそのひとり。彼は投資家として数百社ものスタートアップを目にしてきた経験に基づき、「スタートアップに最も大切なのは、モメンタムだ」と断言しているというのだ。