ストリーマーたちの間で大流行の『LoL』 きっかけとなった『The k4sen』の功績を振り返る
世界的な人気を誇るオンラインゲーム『League of Legends』が、日本にて大きく注目を集めている。 【画像】k4senによる丁寧な『LoL』の解説 2016年の日本サーバーオープン以降、年を追うごとにジワジワとプレイヤーを増やしてきた同作は、2023年末に運営元であるRiot Games Japanから「史上最多のアクティブプレイヤー数を記録」との報告がなされており、ここへ来て“最盛期を迎えた”と言っても過言ではないだろう。 その核の一つとして数えられているのが「インフルエンサーのみなさんが主催するイベント」(報告書の文言より)であろう。2014年にスタートした「LJL(League of Legends Japan League)」を通じたプロ同士の対戦だけではなく、プロとしての活動を終えたプレイヤーや、配信を通じて長くプレイしてきたストリーマーらがプレイしつづけ、日本において同作品の人気を支えてきた一面があるのだ。 近年ではVTuber~バーチャルタレントらも台頭してきたことで、より幅広い層へとリーチするようになったが、その広がりを大きく推し進めたのは、ストリーマー・k4sen(かせん)が主催する『The k4sen』であろう。 ■“k4senによるk4senのため”の企画『The k4sen』 『The k4sen』とは、ZETA DIVISIONに所属するk4senが、自身と仲の良いストリーマーやVTuberらに声をかけ、さまざまなゲームを大会形式でプレイする企画である。 2022年1月29日に『Call of Duty:Vanguard』を用いた内容でスタートしたこの企画は、その後『League of Legends』『雀魂』『OverWatch 2』などさまざまなタイトルで開催された。 ときにはRiot Games Japanが開催したイベント『Riot Games ONE』や、海外で著名なゲームイベントである『DreamHack』などのステージにてオフライン開催するほどの大規模企画へと進化してきた。 一方で、「夏休みの宿題」を発表し合う『夏休み The k4sen』や、視聴者と共にピザを食べ語らい合う『オフ雑談 The k4sen』といった面白企画を展開したり、大会内で優勝した際にもらえるプレゼントが、しっかりと作り込まれつつどこかユーモアに溢れていたりといったユルい側面もある。 シリアスに勝利を手に入れようとする“マジ”な一面と、大人数でにぎやかかつ楽しげにゲームをプレイするエンジョイな一面、そこにk4sen独特のユーモアが交錯した企画は、他の大会や企画とは一味違った企画として多くのストリーマーやファンから注目を集めるようになったのだ。 そんななかでもっとも大会に用いられてきたタイトルが、『League of Legends』(以下『LoL』)である。2022年から23年にかけては、深夜の配信でk4senとともに『LoL』をプレイしていたSHAKA、うるか、葛葉、乾伸一郎などの“いつメン”を中心にし、元プロプレイヤーであるらいじん、Zerost、コミュニティに深く関わってきたたぬき忍者やしゃるるといった面々も加え、『The k4sen』を幾度も開催してきた。こうした活動によって、既存の『LoL』プレイヤーが熱く盛り上がれるシーンを生み出し続けていたのだ。 そんな内容から一転、2023年12月末に突然催された『The k4sen』では、それまで『LoL』に触れたことのない面々に声をかけ、いわば初心者大会として開催されることになった。 直前までVAULTROOMとCrazy Raccoonによるイベント「VCR GTA2」が開催されていたタイミングで、互いのコミュニケーションや仲もある程度構築された面々が招集されたわけだが、師走の忙しく息つく間もない季節の中で、この初心者大会は大きな熱量と波を生み出したのだ。 ■教えを受けた面々らと共に生み出した新風と熱気 初日に2チーム10人のプレイヤーを集めたk4senは、初心者である面々に対して『LoL』の基本的なプレイ・内容を説明した。用語・アイテムのなかでも必要最低限のものだけを教え、たまに挟む小ネタもFPSなどの他ゲームや全員が共通して知っているストリーマーらに伝わる言葉選びだ。解説中にも参加者をイジるネタを仕込み、参加者も視聴者も飽きずに聞ける、非常に伝わりやすい内容となっていた。 対戦日を迎えるまでの数日間において、ゲーム中に気をつけること、スキルの使い方やタイミングの目安など、ミクロな部分を熱心に教えていくコーチ役のk4senとうるか。 「勝てそうだったのに勝てなかったのはなぜか?」「このスキルはいつ・どのように使えばいいか?」など、初心者たちからさまざまに生まれてくる疑問を紐解いていく。 ときには軽く一言で、ときには数十分にわたって、『LoL』のイロハを教わって魅力を知った出場メンバーらは、大会後も休むことなく長時間に渡って配信しはじめることとなる。しかも、12月31日という1年を締めくくる日にも彼らは『LoL』をプレイした。以前から彼らのファンやリスナーだった者にとって、その光景は大きな衝撃だったであろう。 そんな熱狂を知った他のストリーマーやVTuberらも呼応しはじめると、2024年1月末にははやくも2度目となる初心者『The k4sen』が開催された。 こちらでも前回同様、初日に出場者らを集めてルールやアイテム、「レーンとはなにか?」「ドラゴン/バロンとはどういったものか?」といった基礎知識を教えつつ、リスナーを集めたカスタムマッチでは「初心者であっても160体以上いるチャンピオンのなかから“OPチャンプ(※)”を使えばどうなるのか?」という、ある種核心にふれるようなシーンが生まれ、こちらもまた盛り上がりを見せた。 (※OP:オーバーパワーの略。ゲームバランスのなかで頭一つ抜けて強いもののことを意味するゲーム用語。LoLではパッチによってチャンピオンの強さが変動するため、時期によってOPチャンプは入れ替わる) さらに2月上旬には2度に渡って参加した初心者プレイヤーに加え、これまでの大会に出場していた面々や、以前に多少プレイしたことがある者たちが集まり、コーチ・選手合わせて総勢48人による大型企画として(k4senのプロフィールページによれば)第14回目となる『The k4sen』が開催された。 (参考:https://zetadivision.com/players/k4sen) この規模感・出演者であれば、アリーナ会場を使って休日に開催してもおかしくないレベルだ。 しかし、48人のスケジュールをすべて照らし合わせつつ、アリーナレベルの会場を借りようとすれば、これほどのスピード感で開催することなど不可能だろう。“いま、この瞬間”に多彩なメンツを集めて開催すること。ストリーマーやVTuber、そしてリスナーを巻き込んだお祭り感を楽しむには、それがもっとも重要なのだ。 本番当日にはプロリーグで実況・解説を務めるキャスター陣も起用され、熱戦に次ぐ熱戦によって夜も深い時間まで大会は続いたのだった。