かつて"自殺の名所"と言われた犬吠埼 安全に過ごせる「観光のまち」守りたい 官民合同パトロール10年目、たたずむ人や車に声掛け
銚子市の犬吠埼灯台周辺で、自殺や犯罪の防止を目的にした官民による合同パトロールが、スタートから10年目を迎えた。宿泊施設や警察などから10~20人ほどが月1回集い、訪れている人に異変はないか、目を光らせている。かつて自殺の名所と不名誉な評判も立った犬吠埼。安全・安心に過ごせる「観光のまち」に願いを込め、官民一丸の取り組みが続く。
パトロールは現在、周辺宿泊施設による犬吠埼温泉協議会、犬吠埼町内会、銚子署、市のメンバーで構成。9月中旬には11人が午後6時から約30分間、二手に分かれ見回り。崖下の遊歩道や海岸付近、灯台前の広場などを明かりで照らして歩いた。 暗がりで波打ち際にたたずむ人など気になる人や車を見つけた場合は声をかけている。この日、異変は特になく、合同パトロール発起人で同協議会会長の梅津佳弘さん(61)は「銚子が観光客でにぎわい、自殺や犯罪は根絶されれば」と願いを語った。 活動のきっかけは、当時相次いだ自殺。インターネット上で自殺の名所として犬吠埼の名が挙がったこともあった。近くのホテルに勤務していた梅津さんは命を絶とうとする人に心痛めるとともに、地域への影響を懸念。「観光の名所だ」と協力を呼びかけ有志らと見回り、2015年に官民のパトロール隊として発足した。 ライト設置など関係機関による対策も講じられ、自殺件数は減少している。銚子を盛り上げるイベントなどに関わる梅津さんは「今年は犬吠埼灯台150周年。インバウンドを含め多くの人に訪れてほしい」と力を込めた。