「心臓が痛い」のは緊張やストレスが原因? 対処法や診断基準を医師が解説!
緊張やストレスで心臓が痛くなることは、経験がある人も多いのではないでしょうか。少し経てば自然と症状が消えるため、あまり気にしないと思いますが、じつは疾患のサインかもしれません。今回は、緊張やストレスによる心臓の痛みに対する診断や治療法などについて、「KENカルディオクリニック柏」の中村先生に解説していただきました。 [この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]
緊張やストレスで心臓が痛くなるのはなぜ?
編集部: 緊張したときやストレスを感じたとき、心臓が痛くなるのはなぜですか? 中村先生: 多くの場合、自律神経が関係しています。自律神経には臓器の動きをコントロールしたり、体温や代謝などを調節したりする働きがあり、交感神経と副交感神経の2つがバランスを取っています。しかし、ストレスを感じたり、緊張したりすると、このバランスが崩れてしまいます。その結果、心臓に痛みが出るといった症状をきたしてしまうのです。 編集部: 心臓に痛みが出ているとき、自律神経はどのような状態になっているのでしょうか? 中村先生: 交感神経が優位になります。そして、心拍数や脈拍が速くなり、血圧は上がります。それにより、普段あまり感じることがなかった動悸の症状が出て、その違和感を心臓の痛みとして認識する人が多いのだと思います。 編集部: 自律神経の働きによって、心臓に痛みが生じるのですね。 中村先生: はい。交感神経が優位になって心拍数や血圧が上がると、それが強いストレスになります。すると、相対的な心筋虚血の状態になり、狭心症状を引き起こすことがあります。その結果、血流が追いつかなくなり、心臓が強い痛みを感じるということも考えられます。
緊張やストレスで心臓が痛いときは受診しなくてもいい? 受診の目安は?
編集部: 緊張やストレスで心臓が痛いときは、疾患名がつくのですか? 中村先生: 一般に、緊張やストレスによる心臓の痛みは「心臓神経症」と呼ばれます。心臓神経症の原因はこれまでお話ししたような緊張やストレスのほか、過労などによっても起こります。心臓自体には何も異常がないのに、胸の痛み、動悸、息苦しさなどの症状が繰り返し起こります。「刺すような痛み」と表現されることが多い一方で、「ズキズキ」「チクチク」「締めつけられるような痛み」などと言われることもあります。 編集部: 痛みはどれくらい続くのですか? 中村先生: 心臓神経症の痛みは数秒~数時間、場合によっては1日続くこともあります。しかし、あくまでも一時的なものが多く、数時間以上、痛みが続く場合には「心膜炎」や「胸膜炎」などの疾患が疑われることもあります。 編集部: 緊張したときなどに胸が痛むという場合、放置しても大丈夫でしょうか? 中村先生: いいえ。自分では「心臓神経症だ」と思っても、もしかしたら狭心症や不整脈などの疾患が隠れているかもしれません。場合によっては命のリスクになる重篤な疾患が隠れていることもあります。もし心臓の症状に悩まされている場合には、一度、医療機関を受診した方がいいでしょう。