地元の味覚が楽しめる“役所メシの旅” ── 日野市役所「選之介弁当」
「女性には量が多いかな、とも思いますが、野菜の味がおいしくて新鮮です」と木村さん。人気メニューだという。毎日60食ほど用意するが、午後1時前までにはたいてい売り切れるのだとか。この日は、早くも午前11時30分過ぎに完売していた。 食堂で日野市産野菜を使いはじめたのは、4~5年前。日野で生まれ、今も日野で事業を展開する同社社長と地元農家とのつながりや、社長が関わる市の食育関連の活動をきっかけに、市内の野菜を取り扱うようになったという。 野菜は、市内の農家数件のほか、日野産野菜の販売などを行う日野市立ファーマーズセンターから仕入れる。日野市産業スポーツ部都市農業振興課農産係の戸塚一三さんによると、日野の野菜生産は少量多品種の傾向があり、市内ではジャガイモや小松菜、枝豆、トウガラシ、にんじん、さつまいも、里芋、かぼちゃ、ナスなど、多彩な顔ぶれの野菜が栽培されている。市としても、農家への支援や都市農業保全の観点から、食堂での日野産野菜の使用を歓迎する。
店内の席数は約100席、喫茶コーナーもある。1日の利用客数は300~350人ほどで、毎日のように食べにくる常連も。別の席で選之介弁当を食べていた市内在住の小林正男さん(78)と妻の喜美乃さん(74)も常連客だ。喜美乃さんは、選之介弁当の日野産野菜について、「とにかく新鮮で生きが良い。スーパーの野菜とは全然違う」ときっぱり。正男さんも「新鮮でいつもおいしい」と笑顔で話していた。 ベル・ハートは平日午前10時~午後5時営業で、定休日は土日祝日。もより駅のJR日野駅から日野市役所へは徒歩15分だが、途中の坂道を登りたくない場合は、駅のロータリーから京王バス「日02」系統の日野市役所経由「高幡不動駅行き」に乗り、「日野市役所」バス停で下車する方法もある。 (取材・文:具志堅浩二)