大飯原発判決で注目 「人格権」って何?
憲法で明確な規定はない「新しい人権」
憲法で個別に規定されているわけではないが、憲法上認められるべきと主張されている「新しい人権」、それが人格権といえるかもしれません。あいまいな部分が多いためか、人格権の侵害を挙げて大飯原発の再稼働差し止めを認めた今回の判決をめぐっては、原告側や「脱原発」を主張する人たちが画期的だとする一方、政府は安全性を確認した原発を再稼働する方針はまったく変わらない、としています。 しかし、テクノロジーの発達やマスメディアの拡大などによって、人格権の対象が今後ますます広がっていくのは間違いありません。たとえば、ドイツにはおもに名誉毀損やプライバシー侵害からの救済をはかる「一般人格権」という概念があり、フランスでも最近、肖像権や私生活尊重権を包括する人格権を確立しようとする動きがあります。日本における人格権がどのような方向に進んでいくのか、今回の大飯原発の運転差し止め裁判がその議論のきっかけになるのかもしれません。 (真屋キヨシ/清談社)