県有化の旧ヴァンジ美術館(長泉)イベントに積極活用 静岡県、文化拠点として運営再開へ「愛される施設に」
静岡県はことし2月に無償で取得した長泉町の旧ヴァンジ彫刻庭園美術館を使用した新文化施設の運営再開に向け、活用モデルになるイベントを積極的に開催している。事業者選定や運営再開が2025年度以降とされる中、県東部・伊豆地域の文化拠点と位置付ける施設の可能性を示すとともに、魅力の発信を通じて利用者の確保につなげる狙いがある。今後、有償での貸し出しも検討していく。 10月末、旧ヴァンジ美術館の特徴でもある芝生が広がる庭園には飲食販売やワークショップのテントが多数並び、親子連れでにぎわった。県と長泉町共催の「伊豆文学アートミーツフェスタ」は屋内でのトークショーや楽団演奏に加え、地元団体のマルシェも連動。2日間で4千人が来場し、県が目指す文化拠点の可能性の一端を示した。 県は民間運営に向けてサウンディング調査を進める一方、県と町が連携して開催した6月のイベントを皮切りにモデル事業を始動。22年12月末の休館以降、ほぼ使用されていない施設の維持管理が課題だったが、町観光交流協会の協力でボランティアを募り、バラ剪定(せんてい)といった保全管理や清掃活動などにも県内外の人が関わってもらう機会を設けた。ファッション誌やミュージックビデオの撮影にも使用された。 今後も県や町がイベントを企画していく意向で、県担当者は「魅力に多くの人に触れてもらい、再始動後も愛される施設にしたい」と話す。 旧ヴァンジ美術館は21年に運営団体から無償譲渡の申し出があった。県議会で賛否があり、2年余りの議論を経て、民間活用や収益化を前提とした県有化に至った。県は24年度内に利活用計画を策定。施設運営を支える組織「富士山・駿河湾・伊豆文化ネットワーク」(仮称)も発足する予定。
静岡新聞社