ヒコロヒー、初の連ドラ脚本がスタート 業界内で「バカリズムに匹敵する才能」と言われる背景とは
専業脚本家に任せるのがセオリー
18日深夜、ピン芸人・ヒコロヒーが初めて連ドラの脚本を手がけるドラマ『トーキョーカモフラージュアワー』(テレビ朝日 毎週土曜26:30~/ABCテレビ 19日スタート、毎週日曜24:10~)が放送される。 【写真】『トーキョーカモフラージュアワー』主演・松倉海斗、脚本・ヒコロヒーの2ショット その主なあらすじは、「生まれも育ちも山形県! 東京へ転勤したてのウブな色白地方男子が華の金曜日にいきなりワンナイト!? お相手は一風変わった都会の年上女子。この恋って…本物? それとも偽物? 『朝してこない男なんて泊める価値ないよ…』 華やかな大都会トーキョーで寂しさを抱え生きるイマドキ男女の本音と嘘」。 主演をTravis Japan・松倉海斗が務めることも含め、王道のラブコメであり、ネット上には「何でヒコロヒー?」という疑問の声も少なくない。なぜ同作の脚本をヒコロヒーが務めるのか。ひいては、バカリズムを筆頭に芸人の脚本には何が求められているのか。テレビ解説者の木村隆志が掘り下げていく。
■「毒」「エモ」「チル」への期待感 『トーキョーカモフラージュアワー』は松本千秋の漫画を実写ドラマ化。しかも原作漫画は短編集であり、連ドラとして再構成するのは専業脚本家でも至難の業だ。本来ならば、わざわざ芸人を起用するのではなく、漫画・小説の脚色に慣れた専業脚本家に任せるのがセオリーだろう。 では、なぜ芸人であり、しかも連ドラ初脚本のヒコロヒーなのか。 ヒコロヒーは21年に深夜バラエティ『まんが未知』(テレ朝)の企画で漫画の原作を手がけたほか、22年には配信ドラマ『お前によろしく』(テレ朝YouTubeチャンネル『動画、はじめてみました』、TELASA)の脚本も担当していた。 さらに言えば、以前からドラマ脚本への思いを語り、意識的に長尺コントなども作ろうとしていたという。そんな彼女の思いや地道な歩みは業界内にも確かに伝わっていた。「なぜ?」というより「ついに」という印象があり、少なくとも唐突な抜てきではない様子がうかがえた。 制作のABCテレビは、『トーキョーカモフラージュアワー』の作品ジャンルを「ヒコロヒーが送る! 奇想天外な毒舌系エモチルラブコメディ」と掲げている。 主にコントで見せる「毒舌」がヒコロヒーの持ち味なのは言うまでもなく、脚本を手がけた『お前によろしく』でも毒は存分に発揮されていた。 さらに、「エモ(心が揺さぶられる)」と「チル(くつろぐ、まったりする)」のムードもトークバラエティなどで見せる別の持ち味であり、ヒコロヒーが幅広い世代から受け入れられている理由の1つ。それらは昨年リリースした初の短編小説集『黙って喋って』でも存分に発揮されていた。 彼女自身『トーキョーカモフラージュアワー』について、「どんな結末になるかはわかりませんが、大都会東京でめいっぱいに他人を好きになるということの苦しさと愛おしさを表現するドラマになると思います。好きになってよかったと言える人に出会える街が舞台です」とコメントしていたことからも、毒以上に「エモ」「チル」で視聴者を楽しませるのかもしれない。 もちろん芸人らしい笑いも含め、ウソのないぶっちゃけキャラの彼女が脚本を担うことで「原作漫画の魅力をさらに広げてほしい」という制作サイドの狙いが伝わってくる。