CSを逃した群馬クレインサンダーズ、ベテラン辻直人が明かした胸の内(前編)「一人ひとりが考え方を変える必要がある」
「第3章というデッカいタイトルに負けないくらい濃い経験をしています」
1年目は上位に食い込むことはできなかったが、2年目はチームの意識が大きく変わりCS進出を果たした。辻も自分の発言でチームが変わっていく手応えを得た。その経験を生かすべく意気揚々と移籍先に選んだのが、強豪クラブになるべく発展の一歩を歩み出したばかりの群馬だった。 「とにかく群馬は勝ちに貪欲でした。練習中の5対5でも勝つためにみんなハードにプレーできるのが素晴らしいです」。意識高く勝利を目指すクラブであるのは間違いなかったが、広島とのギャップも感じた。「発言した直後は変化があるけど、すぐに戻ってしまう。そして、それに対して言い続ける力が僕にはありませんでした。広島では、発言すれば変わって、言う人が増えて、さらに変わってという感じでした」 広島時代は朝山や、共に川崎から移籍してきた青木保憲(現・仙台89ERS)が良い相談相手だったという。群馬ではどうだったのか。 「(並里)成とはよく話しました。彼も初めてキャプテンを務めることになり悩みはあったと思います。ただ彼は独特の『並里成』のスタイルができあがっています。バスケ観や今後の改善点は話しましたが、チームや組織をどう変えていくのかというところまでは至っていません。来シーズンがどうなるかは分かりませんが、僕自身にとってチャレンジの1年になると感じています」 カルチャーは簡単に変わるものではなく、時間を要するものだ。そして、誰かにとっての正解は誰かにとっては不正解であり、絶対的な答えはないものかもしれない。辻にとって今シーズンは苦しいシーズンとなったが、それゆえに自身の成長を感じられるシーズンだったに違いない。 「『人生一回』というのが自分のモットーなんですが、それこそ成とできるのも、これが最後のチャンスだと思いました。個性が強いチームに自分が入った時に、自分を殺さずにどれだけできるのか。 広島で経験した組織作りをどこまでできるのか。『(プロキャリア)第3章』というデッカいタイトルに負けないくらい濃い経験をしています」
ズッボン