国際大会に「まさか」なし…たった1度の敗戦でメダルの色変わった侍J 台湾の歓喜を目に焼き付け2年後のWBCへ
◇渋谷真コラム・龍の背に乗って・侍ジャパン編 ◇24日 「ラグザス presents 第3回 プレミア12」決勝 日本―台湾(東京ドーム) 伏兵に先制ソロを浴び、3番に追撃の3ランを食らう。打って4安打、打たれて11安打。悔しいが、投打に完敗だった。侍ジャパンにとって5年ぶりの敗戦。台湾に公式戦で敗れるのは、何と14年ぶりだった。しかし、その大会はプロの若手中心で臨んでおり、プロ参加後でフル代表級の試合となると、事実上の初黒星だった。 それほど衝撃的な敗戦だが、国際大会に「まさか」はない。2004年のアテネ五輪では、松坂大輔(西武)が1失点に抑えたが、打線がオーストラリアに完封された。13年のWBCでは、逆に9回「あと1球」から井端の起死回生の同点打が出た。どんなことも起こり得る。それが国際大会の醍醐味(だいごみ)であり、怖さなのだ。 少なくとも侍たちに油断や慢心はなかった。そして4点を追ってもあきらめてもいなかった。それを象徴するのが7回の守りだ。連打に重盗をからめられ、2死二、三塁。ここで潘傑楷(ハン・ケツカイ)の緩いゴロが、三遊間に転がった。前進して捕った源田がランニングスロー。一塁の牧はショートバウンドをうまくすくったが、一塁塁審はセーフと判定した。井端監督は立ち上がり、チャレンジを行使。判定は覆り、決定的な5点目を防いだ。潘傑楷はヘッドスライディングの際に指を痛めて負傷交代。日本の執念と台湾の執念が交錯した瞬間だった。 「宮崎合宿からみんなでこの日のために頑張ってきたので、勝てなかったのはすごく悔しいですけど、みんな必死にやった結果なので受け止めます。次の国際大会で悔しさを晴らせるように、また代表に呼ばれるように頑張ります」 懸命の送球をした源田は、今回のメンバーでは、前回の敗戦(プレミア12での米国戦)を知る唯一の侍でもある。前回の敗戦は取り返せたが、今回はたった1度の敗戦でメダルの色が変わった。自身の世界大会4連覇も霧散。決勝では無敗だった侍ジャパンの神話も、ついに終わりの時を迎えた。逆に台湾野球は歴史が変わった日。彼らの歓喜を目に焼き付け、2年後のWBCに向かっていくしかない。
中日スポーツ