本のまち八戸市に新たなカルチャーの拠点、「0次会向け」の古本屋がオープン
閉店した行きつけの古本屋から、蔵書を受け継ぐ
本村さんが〈アンドブックス〉を始めた理由は、「本も、お酒も好きだったから」。オープン当初は本の販売はしておらず、自分が持っているものを並べていただけでしたが、買い足したり、お客さんから引き取ったりするうちに量が増え、数年後には「ブックバー」から「ブックセラーバー」と名乗るようになったそう。 「本」の「村」という苗字の通り(?)、それからも本村さんのもとには本が集まり続け、とある決定的な出来事によって、〈ジェロニモ〉の開店に至ったといいます。 「以前『遊歩道』という古本屋がまちの中心部にあって、よく行っていたんですが、何年か前に店主が亡くなって、閉店してしまいました。残された蔵書がすごい量で、しばらくして関係者から引き取ってほしいと連絡があったんです。うれしい話なので、段ボールに入れてもらってきたんですが、置き場所がない。それで、これは古本屋をやろう、こんなに本があるんだからやろう、と決めました」 ■カルチャー系の店が、まちをおもしろくしていく 本村さんは八戸市のことを、冗談半分で「カルチャーが死んだまち」と話します。「八戸には市営の美術館や本屋はあるけれど、じつは民間の古本屋やレコード屋、古着屋、純喫茶などのカルチャー系の店が、ほとんどないんです。去年も、八戸唯一の映画館が閉館してしまいました。そういう意味でも、私がここに古本屋をつくった。後は誰かやってくれ(笑)。カルチャーがないまちは、住んでいておもしろくないからね」 本や映画、音楽、漫画…どれもネットで楽しめる時代ですが、実店舗に足を運ぶことで、ネット検索では得られない出会いがあり、誰かとカルチャーを分かち合う体験ができるもの。そうしたことの積み重ねが、暮らしを豊かにしていくはずです。これから〈ジェロニモ〉で、どんな出会いや体験が繰り広げられるのか楽しみです。 information ジェロニモ 住所:青森県八戸市三日町32 江口ビル3F 定休日:月・火曜 営業時間:13:00~19:00 Instagram:@geronimo_3f writer profile Mao Yoshida 吉田真緒 よしだ・まお●東京都出身。育ったのは自然豊かな奥多摩町。編集制作会社勤務を経て2012年に独立。まちづくりやコミュニティ、ライフスタイルをメインテーマに、取材・執筆をしている。転勤族の夫の都合で2020年に南仏へ移住、2022年に青森県へ移住。次はどこに住むのかわからぬ旅がらす。 【コロカルニュース】とは? 全国各地の時事ネタから面白情報まで。コロカルならではの切り口でお届けする速報ニュースです。