あらゆる「ゆるキャラ」はロボットに改造されるのか? まずは「家康くん」
家康くんといえば、静岡県浜松市のご当地キャラクター「出世大名 家康くん」だが、その浜松市でもう1つの家康くん、“ロボキャラ家康くん”が民間会社によって制作されている。試作機となる1号機に続きバージョンアップした2号機を近く発表する。年内には人工知能を搭載したAIロボットになる予定。ロボキャラは新たな人気キャラクターになれるだろうか?
ロボキャラ家康くんは、体長75センチ、重量20kg。リモコン操作で自在に動き、音声認識機能があり、「お会いできて嬉しいかぎりじゃ」などと大名風に挨拶したり、質問にこたえたりする。 また、視覚機能があり、人を認識して顔を向けて腕を振るなどの動作をする。試作機の1号機は昨年11月に完成、ボディーは金属をまとった小型ロボットの風情。2号機はデザインがほどこされてキャラクター感がアップ。機能も改良が加えられている。2号機は6月3日から浜松城公園で開催される家康公祭りで発表される予定。さらに、人工知能を搭載し、学習機能を有するAIロボットにするという。 ロボキャラ家康くんを作っているのは浜松市に本社がある株式会社エム・エス・ケー。自らを「試作屋」と呼ぶ松浦譲社長が1991(平成3)年に設立した会社だ。精密板金部品の試作や樹脂モデル、金属部品等の製作をメーカーなどから請け負っている。 その業務内容は専門性が高く、素人にはピンとこないが、自動車やバイクなどの新しい部品を試作しているのだという。松浦社長はもともと板金関係の仕事をしていたが、19年前に3Dプリンターに着目。設計図やデザイン、造形物などを3Dデータにする技術に習熟し、今ではあらゆる物を3Dデータにして試作することが出来るという。
ロボキャラ家康くんを制作することになったのは、浜松商工会議所が昨年、ロボット産業創成研究会を立ち上げたことが発端だった。 「試作屋」松浦社長に白羽の矢が立ち、松浦社長は「出世大名 家康くん」を追いかけて写真を撮りまくり、それを知人のデザイン会社「M.D.O」に送ってデザイン、設計を依頼。出来上がったデザイン、設計をエム・エス・ケーで3Dデータ化して部品を製作、駆動部分は「ソミック石川」、音声認識機能部分は「CAI メディア」といずれも地元の企業が協力してわずか3カ月間で試作機を完成させた。 すでに、ゆるキャラグランプリにも出場しているロボキャラ家康くん。「ゆるキャラグランプリでは子供と母親に大人気だった」と松浦社長は手応えを感じている様子だ。 今後、ロボキャラ家康くんを企業や自治体などにリースしていくことや、様々なキャラクターをロボットにする「ロボキャラビジネス」を視野に取り組みを進めている。 「大量に生産するロボットは大手にまかせればいい。独創的なロボットを作ることが生き残る道」と松浦社長。その根底には、新しい産業を地元に興して、地元を元気にしたいという思いがあるようだ。「うちでは大概のものが作れる。うちを使って浜松のベンチャーを育てて欲しい」とPRしている。