鉄橋影響ない区間　夏ごろ部分運行も

不通となっているJR山陰線の復旧見通しを説明する広岡研二支社長＝27日、山口市内

　JR西日本は27日、大雨災害で鉄橋が傾くなどして不通となっているJR山陰線の長門市－小串駅間（50・6キロ）について、河川を管理する県との協議が成立したとして、設計などの準備が整い次第、復旧工事に着手すると発表した。順調に進めば工期を着工後1年半程度と見込み、2025年度中の運行再開を目指す。鉄橋の影響がない区間については、6月下旬から7月上旬ごろの部分運転での運行再開を目指して復旧工事を始める。 【写真】大雨による粟野川の増水で橋脚が傾くなどの被害が生じたJR山陰線の粟野川橋りょう＝下関市豊北町（2月撮影） 　JR西日本中国統括本部の広岡研二広島支社長が山口市内で会見し、復旧の見通しを説明した。 　下関市豊北町の粟野川に架かり被害が大きかった粟野川橋りょうは、橋脚5本のうち傾いた中央の1本を建て直して橋桁を修復する。県との協議により川の水が少ない時期に限らず通年で復旧工事ができることになり、工期の短縮と、当初は15億円程度を見込んだ復旧費用を十数億円まで縮減できる見通しとなった。 　粟野川橋りょうを含む人丸－滝部駅間（21・6キロ）を除く長門市－人丸駅間（13・9キロ）と滝部－小串駅間（15・1キロ）については、線路内に流入した土砂の撤去や流出した盛り土や砕石の復旧といった工事に着手する。着工後3カ月程度で完了する見込みで、運転再開日や運転時刻などは改めて発表する。引き続き不通となる鉄橋を含む区間は鉄道代行バスの運行を続ける。 　山陰線の長門市－小串駅間は、昨年6月30日からの大雨による被害が69カ所で確認され不通となっている。鉄橋を除く不通区間で高校生の通学利用が多い滝部－小串駅間での運行再開を沿線住民らがJR側に要望していた。 　広岡支社長は「復旧に向けて安全最優先で工事を進める」と述べた。また、不通となっている区間は利用者が少なく、JR西が将来の在り方を検討する赤字ローカル線の対象と位置付けていることから、「鉄道としての持続性の確保について沿線自治体の方々と議論させていただきたい」との見解を改めて示した。 　大雨被害で鉄橋が崩落するなど全線で不通が続く美祢線の復旧については、引き続き明言を避けた。