ブラックストーンのジョン・グレイ社長

（ブルームバーグ）： 米ブラックストーンやアポロ・グローバル・マネジメントなどディストレスト債務を多く扱ってきた資産運用会社が、今では通常の融資の提供者として信頼を築こうと取り組んでいる。

これら業者はかつて、銀行融資を受けられない企業への資本提供で知られていたが、現在は世界トップクラスの企業に対する融資を競っている。

ブラックストーンが保有する投資適格級のプライベートクレジット資産は900億ドル（約13兆5700億円）余りと、１年前から約４割増えた。同社はこの数字がさらに伸びると見込む。

一方、アポロは投資適格級のクレジット、約2750億ドル相当を管理する。「高格付け資本ソリューション」事業は、数十億ドル規模の企業取引に重点的に取り組む主要成長戦略の一つで、この４年間に約1000億ドル相当を組成した。

これらオルタナティブ資産運用会社は、より規模が大きく強固な企業、またそうした企業が保有する設備や不動産、他の担保に注目。銀行の領域に正面から入り込んでおり、ウォール街から資金や影響力を奪おうとする取り組みが進んでいる。

もっとも、運用会社は預金を原資にするつもりはなく、プライベート市場から得られる利回りの高さに引き付けられた保険会社に目を向けている。保険会社は、保有する膨大な永久資本を投資適格級の資産に投資したいと考えており、オルタナティブ資産運用会社はこうしたニーズに応えることで事業を拡大できる。

格付け重視

保険会社の投資意欲を背景に資産の格付けがより重視されるようになっている。

クロール・ボンド・レーティング・エージェンシー（ＫＢＲＡ）はここ数年、企業資産からのキャッシュフローを担保とするデット200億ドル相当を投資適格級に格付けした。これは借り手と交渉を重ねてこうしたディールが可能なノンバンクの台頭を物語っている。

ブラックストーンが今年１－９月に格付け重視のプライベート投資顧客向けに組成・アレンジした「Ａ」格付け級のファイナンスは380億ドルに達した。１年前と比較して７割増えた。保険会社が投資する資産はシングルＡ以上の格付けが要件のことが多い。