ウォール街のプロも惑わす相場の急展開、謙虚さ必要との教訓に
(ブルームバーグ): 米経済指標がインフレ率の上昇と成長の鈍化を示し、米2年債利回りが5%に向けて上昇する局面で、市場の楽観ムードが消えつつあると感じたビル・グロース氏は、いわゆる「マグニフィセント・セブン」と呼ばれる大手テクノロジー企業のような株式銘柄を卒業する時が来たと指摘した。
「当面はバリュー株を保持し続けテクノロジー株は避ける」。これは、25日に米債券大手パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)の共同創業者であるグロース氏がX(旧ツイッター)に投稿した助言だ。
そのわずか1日後、構成銘柄にハイテク株が多いナスダック総合指数は2月以来の大幅高となった。マイクロソフトとグーグルの親会社アルファベットが発表した決算内容で、人工知能(AI)関連の業績押し上げ効果がまだ健在であることが示されたためだ。
まさに米経済のソフトランディング(軟着陸)について実現可能性を巡る新たな疑問が浮上する中で、短期的な市場動向を把握しようとする全ての投資家が正念場を迎えている。モメンタムトレードの上場投資信託(ETF)の一つは今週、3.5%上昇したが、前週の下落率は5.6%に達していた。
マクロ指標が発するシグナルは強弱混在の状況が続く。25日に発表された1-3月(第1四半期)の米実質国内総生産(GDP)速報値は成長率が予想以上に鈍化した一方、個人消費や投資関連の指標は堅調を維持。翌日発表の個人消費支出(PCE)は強い数字となり、景気強気派が歓迎した一方で、インフレ抑制を目指すタカ派は眉をひそめた。
それでも、マネーマネジャーらは、数年後の利益計上を約束する企業の割高な株式を買い続け、S&P500種株価指数は週間で2.5%余り上昇した。
グロース氏は26日、ブルームバーグに宛てた電子メールで、「以前はハイテクとグロース銘柄が利回り上昇の影響を受けていた」とした上で、「しかし、今は違う」との見解を示した。