進化形おにぎり 〝映える〟高級食材を使った〝ごちそう〟がキーワード
食のトレンドをおにぎりが席巻する中で、注目を集めるのが“進化形”のおにぎりだ。交流サイト(SNS)をにぎわせる“映える”、高級食材を使った“ごちそう”といったキーワードのおにぎりが台頭。提案の幅が広がり、今や米消費の起爆剤となっている。 【画像】“映え”を意識したおにぎりとラーメンのセット
握る姿もサービス
創業60年超の老舗「おにぎりぼんご」(東京都豊島区)は、カウンター越しに職人が握る大きなおにぎりで人気を集める。SNSなどを通じて、20~40代を中心に評判を呼び、最長で「6時間待ちになることもある」(右近由美子社長)。 同店がこだわるのは、客から店員の顔が見えること。右近社長は「食券や自動レジの台頭で、客と店員の関わりが少なくなる中、店員と関わりたいとするニーズがある」とみる。職人が目の前で握る臨場感も好評で、握る姿を動画撮影する客も多いという。 一つ200グラム程度と食べ応えのある大きさも特徴で、新潟・岩船「コシヒカリ」を使う。サケやベーコンなどの具を複数組み合わせることもでき、ぜいたくに具を三つ入れる客もいる。価格は350円から。
訪日外国人もとりこ
大きなおにぎりをサイドメニューで提案するのは、東京都新宿区のラーメン店「ラーメン エディ」だ。同店は10、20代の「Z世代」やインバウンド(訪日外国人)の客が多く、「3、4割の人がおにぎりも注文する」(東宏信専務)。 卵黄を載せたおにぎり(270円)など、写真映えも重視。「ライスよりおにぎりの方がSNSでの集客に向いている」(同)という。ミニラーメンとおにぎり3個のセット(1310円~)も人気で、客単価アップにつながる欠かせない商材だ。
高級食材で特別感
“ごちそう”をキーワードに、大きなうなぎを載せたおにぎりやチーズリゾット風の焼きおにぎりなど、新しい商品が続々と出てきた。おにぎり協会の中村祐介代表は「さまざまな料理や具をおにぎりで楽しむ動きはさらに広がる」とみる。
日本農業新聞