娘と旧友、熱烈なファン、そして不動産業者と…アパートの住人となった男性と女性4人の人間模様 「WALK UP」を採点!
〈あらすじ〉
著名な映画監督のビョンス(クォン・ヘヒョ)は娘のジョンス(パク・ミソ)と、旧友のヘオク(イ・ヘヨン)が所有するアパートを訪れる。インテリアデザイナーのヘオクに、インテリア関係の仕事を志望する娘を紹介するためだ。そのアパートは、地下1階がヘオクの作業場、1階がレストラン、2階が料理教室、3階が賃貸住宅、4階がアーティスト向けアトリエで広いバルコニー付きだ。 後に、そこの住人となったビョンスは、レストラン店主兼シェフで彼の熱烈なファンだというソニ(ソン・ソンミ)、そして不動産業者のジヨン(チョ・ユニ)と親密に付き合うようになるが――。
〈解説〉
アパート各階の部屋を舞台に、迷える映画監督と女性4人の人間模様がモノクロームで綴られる。『小説家の映画』に続くホン・サンスの脚本・監督作。97分。 中野翠(コラムニスト)★★★☆☆それぞれの人生の一断面をモノクロで。よくできていると感心するが、やや物足りず。演者たちにもう少し魅力があれば。 芝山幹郎(翻訳家)★★★★☆おとぎ話とリアリズムが同居し、浮世離れした美学と下世話な体質が共存している。飲み飽きない味に杯を重ねてしまう。 斎藤綾子(作家)★★★★☆単色の映像が魅力的。女たちに大事にされ自由に生きる俺が好き、という主人公は監督自身か。星を減らしたいほど苦手。 森直人(映画評論家)★★★★★らせん階段のある建物を使った驚きの語り口。男の煩悩や憂鬱もコミカルに。ホン・サンス監督の旨味が詰まった極上級。 洞口依子(女優)★★★☆☆建物の中で昇降する人物、過去か未来か希望か追憶かミニマムに交差するその様は捕まえたら消える幽霊を物語る様だ。 INFORMATIONアイコンWALK UP(韓国) 6月28日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテほか全国順次公開 https://mimosafilms.com/hongsangsoo/
「週刊文春」編集部/週刊文春 2024年7月4日号