しゃぐまなどの衣装で太鼓をたたく踊り手や児童たち＝明和町有爾中の宇爾桜神社で

　三重県多気郡明和町有爾中の宇爾桜（うにさくら）神社（樋口利江子宮司）で13日午後1時から、天王祭が営まれた。毎年7月14日に近い日曜日に開かれていたが、今年は熱中症対策で、奉納時期を秋へずらして行った。 　天王踊は「有爾中かんこ踊り」とも称され、疫病退散と五穀豊穣（ほうじょう）、氏子安全などを祈る伝統行事。口伝で継承され、過去に2回の中断を経たが、約40年前の復活以降は有爾中天王踊保存会（田中紀正会長、約20人）が守っている。子供は花や扇を持って舞い、大人は赤熊（しゃぐま）をかぶり、腰みのを着け、羯鼓（かっこ）を打ち鳴らして踊る。1985（昭和60）年に町無形民俗文化財に指定された。 　この日は、同会員と地元児童が「流願」の他、五穀豊穣を喜ぶ「世の中」などを披露。町立明星小学校6年・中瀬結愛さんは、同4年の妹・心結さんと参加。伝統文化を守ることが大切と話した。 　保存会の石田豊喜さん（70）＝有爾中＝によると、参加者や観客の減少を防ぐため、踊り手の参加条件を緩和する他、ウエブサイトなどで「有爾中かんこ踊り」の価値を発信して国内外からの誘客にも努める方針。今年もALT（外国語指導助手）など外国籍の顔ぶれもあり、英国出身の男性は「母国にはない祭り。コスチューム（民俗衣装）が面白い。ゆったりしたリズムの踊りだから、とてもリラックスできた」などと感想を話した。