SNSで情報が“タコツボ化”する危うさ…兵庫県知事選での影響めぐり「news zero」藤井貴彦アナが指摘
日本テレビ系のニュース番組「news zero」で、藤井貴彦アナ(52)が、選挙とメディアの関係の在り方について言及し、話題になっている。 【写真】「脱税は、犯罪。」ポスター…自民裏金議員の追徴課税は総額1億3533万円! 藤井アナは、先の兵庫県知事選ではSNSの情報が大きな役割を果たしたことや、テレビをはじめ、マスメディアの報道に批判があったことに反省もあるとしたうえで、「今回の知事選のみならず先日の衆院選挙でもSNSが存在感を強くしましたが、ひとつ注意しなければならないのは、SNSはユーザーの好みに近い映像や画像が集まりやすいという点です。ですから幅広い情報に触れているようで、実は自分で自分に情報を流しているという側面もあります」と語った。 さらに「ほかの人の意見、他者の意見を取り入れる環境にあるかどうか、SNSもパーフェクトではないと意識して利用することが大切です」と付け加えた。 藤井アナは、いわゆる「フィルターバブル」と言われる現象について語っていると考えられるが、改めてITジャーナリストの井上トシユキ氏に解説してもらった。 「“フィルターバブル”という言葉自体は、SNSが浸透し、検索エンジンがグーグル1強になったあたり、10年以上前から言われていることですが、インターネットのサービスの提供者が、ユーザーの検索したワードやクリック行為をAIで分析し“こういう言葉を検索した人はこういうニュースが好きだろう”とか、“こういう商品に関心を持つだろう”とレコメンドしてくる。つまり、あらかじめ情報がユーザーの好みに合わせて選別されていて、フィルターがかかっているという意味です。さらにその泡の中から出られなくなっているという意味で“フィルターバブル”と言われます」 これはいわば、自分が欲している情報にのみアクセスしている状態。いわば「情報のタコツボ化」だ。 「米大統領選の際も指摘されていましたが、勢い、それは全体ではないし、偏ったものになりがちです。これにより、例えば“斎藤知事はハメられた、それをマスメディアは一切報じていない”という情報にばかり接していると、それがすべてだと思い込んでしまう現象が起きます。一般的にネット上の情報は、まさに玉石混交で、陰謀論をはじめ、裏付けの取れていない情報や改変された情報なども数多く含まれているので、うのみにしないほうがいいということは言えると思います」 井上氏はその対処法についてはこう続けた。 「検索という行為は、自分の欲しい情報にアクセスする最短距離ではあるのですが、今はそこにレコメンド機能が合体しており、それは避けることはできません。それで同じような情報にばかりさらされていると、その情報が唯一の真実であり、他の情報は目に入らないという状態に陥りやすい。それを避けるためには、あえて反対の意見を検索したり、できるだけ全体像がわかる情報にアクセスしたり、原典やオリジナルの意見に当たるなど、ネットの空間と自覚的に付き合うことが必要になってきます」 誠実な語り口で知られる藤井アナも危惧する“ネット情報の落とし穴”には注意が必要だ。 ◇ ◇ ◇ 今回の兵庫県知事選挙はネット検索とSNSが猛威を振るったとされている。関連記事【もっと読む】兵庫県知事選・斎藤元彦氏の勝因は「SNS戦略」って本当?TV情報番組では法規制に言及したタレントも…では、斎藤元彦知事が駆使したとされるSNS戦略について伝えている。