追うは「東大と甲子園」の二兎…坂本勇人の恩師も太鼓判の茨城発“最強留学生スラッガー”李玟勳って何者?「いまは野球と勉強が彼女です」
最も難しい日本語能力試験を高校入学前に合格
李と話していて驚くのは、その語学力の高さだ。インタビューをしていて、まったく難が無い。聞けば日本語能力試験で最も難しい「N1」に、来日前に既に合格していたという(N2で、現地大学の日本語学科卒業者でも全員が取れないほどだとされる)。 その頭脳明晰さに感心したチャオさんが勧めたのが東大への進学だった。李も日本への留学が叶ったからには、甲子園出場とともにもうひとつ目標を立てようと思っていたところだった。そこで東大についても色々と調べると、「この大学に入りたい」「東大のユニフォームを着て神宮球場で戦いたい」と心が躍った。 「過去、東大に台湾出身の台湾人選手はいないかと思うので、開拓者になりたいんです」と、サラリと屈託のない笑顔で話す。 そんな李に対して、学校側や金沢監督はできる限りのバックアップ体制を整えている。 豊富な練習量を誇る明秀日立は練習終了が22時になることもあるほどだが、「1年生の時はみんなが寝てからも勉強していましたが、2年生になったら野球の負担も大きくなってきたので、早めに寝て朝早く勉強するようにしています」と休養も大事にしながら、可能な時間にきっちり集中して行っている。 寮から学校へ向かうバスの中で、スマートフォンを使って数学や物理、化学のビデオを観て、バスが学校へ着くと始業までの30分間勉強。休み時間も無駄にせず問題を多く解くようにしているという。
「甲子園出場と東大合格…難しいから価値がある」
また、練習が休みである月曜には、クラスの担任でもある古文の先生に補習をしてもらい、木曜は練習を休み勉強に専念させてもらっている。その文武両面での労力を聞いているだけでも体力が削がれそうな日々だが、李は「入寮の時に“東大を目指す”って言っちゃったんで」と、いたずらっぽく笑った後、真剣な表情で強い決意の言葉を続けた。 「東大合格と甲子園出場。どちらも難しいミッションです。でも難しいからこそ挑戦する価値があると思うんです。難しいことに挑戦することや、人がやったことのないことをやるのが僕は好きなんです」 高校生活も1年を切り、高校野球最後の夏は間近に、入試もこの冬に控える。双方で夢を叶えるための鍵には、精神力を挙げる。「ここに来て練習量の多さが台湾と大きく違って、きつかった。でも、誰にも負けたくないという気持ちでやったら精神力がついて、試合で結果もついてくるようになりましたから」と、野球で培ったものがあるからこその自信を覗かせた。 前人未到の挑戦を続ける李だが、「彼女はいません。野球と勉強が彼女です」と笑うように愛嬌もたっぷり。将来の夢はまだ決まってないというが、確固たる意志を持ち、自らの夢を切り拓いていく姿には、高校生とは思えない頼もしさが漂っている。
(「令和の野球探訪」高木遊 = 文)
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