ユーロ2024開催国ドイツは16強以降を見越した戦いに 「ムシアラ」への依存度をどうとらえるか
弊害を挙げるなら、右からの攻撃が左に比べて弱かったこと、ライン際からの折り返しは皆無だったことぐらいだ。しかし、相手のレベルが上がれば、そこは確実に穴となる。スコットランドだから成立した話でもあったのだ。同様なスタイルで向かってくるハンガリーとの一戦も、大きな問題は起きないだろう。 後半18分、ドイツベンチはビルツに代わってレロイ・サネ(バイエルン)を投入。ムシアラを左に回し、サネを右ウイングに据えた。右から攻撃する機会は増えた。左右のバランスは整ったかに見えた。しかし、サネは空回りした。ドイツの攻撃は、ムシアラがトーマス・ミュラー(バイエルン)と交代でベンチに下がった後半29分まで、"ムシアラありき"になった。その奔放さに頼るサッカー。これをどこまで深刻に受け取るか。 グループリーグの残り2試合は大丈夫でも、一発勝負の決勝トーナメントになると話は変わってくる。少なくとも優勝は、左右のバランスが整わない限り難しい。ドイツには強烈なストライカーがいないので、なおさらそう感じる。ナーゲルスマン監督はハンガリー戦をどう戦うか。先を見越した戦いができるか。見ものである。
杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki