「食肉処理施設の移転、26年度末が期限」土地所有の松本市が要請 県農協グループ「物理的に困難」と反発
全農県本部(長野市)子会社の長野県食肉公社(松本市)が松本市島内で運営する食肉処理施設の移転新設を巡り、施設の土地を所有する松本市が2027年3月末(26年度末)までに土地を返還するよう全農側に求めていることが分かった。市は以前から土地返還を全農側に求めており、期限を延長して改めて要請した形。全農など県農協グループは移転先のめどが立っておらず、設計と建設には4年程度かかるため「物理的に困難」と反発している。 【写真】土地返還の延期を求める署名活動。長野県内5カ所で行われた。
跡地利用、ごみ焼却施設稼働を見据え
食肉処理施設の近くには1999年に稼働したごみ焼却施設「松本クリーンセンター」があり、松塩地区広域施設組合が老朽化を踏まえて新ごみ焼却施設の整備を計画。新施設の想定エリアは、食肉処理施設の場所を含んでいる。
昨年9月に新たな期限を伝達
組合を構成する松本市は当初、全農県本部側に24年度末までの土地返還を求めた。その後、期限を延期したが、昨年9月に26年度末までとする新たな期限を全農側に伝達。松塩地区広域施設組合によると、新ごみ焼却施設を33年度に稼働させる想定という。
候補地は検討中
新たな食肉処理施設の候補地は、県などが加わる「松本食肉施設整備支援検討会」で検討中。現在、候補地を数カ所に絞ったが、26年度末では新施設稼働に間に合わない。食肉処理場所がない期間が生まれかねず、県農協グループは松本市に再度の期限延長を求めるため、食肉生産者らの署名運動を始めた。