マー君の修正能力の低下のなぜ?
ヤンキースの田中将大投手(26)が13日(現地時間12日)、対レッドソックス戦に今季2度目の先発、味方打線の大量10点の援護をバックに5回を投げて本塁打を含む4安打4失点の苦しい内容ながら今季初勝利を飾った。試合後、マー君も「仕事ができなかった」と不満を漏らしたが、ウイニングショットのスプリットに制球力がなく、彼が持つ能力のひとつである修正力も発揮できなかった。不振の原因を探ってみた。
スコアボードに「7」が刻まれた。 ローテーションの一番手としての評価を受けるマー君にしてみれば、それはピッチングに余裕を与える大きな追い風になるはずだった。だが、何かがおかしい。立ち上がりからボールが浮いていたが、4回には伝家の宝刀であるスプリットのコントロールが定まらなくなった。この回の先頭は、昨季、特大の一発を浴びた苦い過去のある大砲・オルティズ。2ストライクゼロボールと追い込みながら、スプリットの連投がワンバウンドになって、オルティズのスイングを誘えない。結局、歩かせてドジャースから移籍してきた新4番、ラミレスを迎えた打席でもスプリットが2球暴投となって、オルティズの三進を許した。制御不能となったスプリットを捨ててスライダーで勝負したが、ラミレスには簡単にポンとセンターへの犠飛を許す。 ここで仕切り直せば良かったが、ジャイアンツから移籍の5番のサンドバルには中前打を打たれ、続くナポリにまた四球。ここでもスプリットはボールとなっていた。ビクトリーノはセカンド正面へ、併殺におあつらえ向きのゴロを打たせたのだが、ドリューの送球が大きくそれてオールセーフ。点差があるゲーム展開では「ランナーだけは貯めるな」の東西不変の鉄則を守れず、一死満塁として、ボカーツにインサイドへのツーシームをレフト線に運ばれ、さらに2点を失った。 この回だけで38球を要して3失点。5回にはラミレスを追い込みながら、スプリットが使えないため、選択したカットボールを捉えられ、打球はバックスクリーンまでもっていかれた。ヤンキース打線はその後も追加点を刻み、初勝利が転がり込んだが、6回のマウンドに上がれず97球降板は、田中自身、納得のいかないピッチングだった。 「仕事ができなかった。たくさん点をとってくれたのに、ズルズルと締まらない試合をしてしまって情けないっていうのはありますけど……勝てたことは良かった。ここから少しずつ状態を上げていければいい」