ウクライナ軍が東部トレツクでわずかに前進 ロ軍陣地の高層住宅を崩壊させる
ロシア軍はウクライナ東部のいくつかの重要な軸で、記録的な大損害をものともせず前進している。 【画像】トレツクの高層住宅を要塞化するロシア軍。ウクライナ軍は爆薬を仕掛けてその全体を崩壊させる ロシア軍は今週、ドネツク州の要塞都市ポクロウシク市周辺のウクライナ側防御を支えていた都市のひとつ、セリドベ市の大半を制圧した。また、ポクロウシクの南東40kmほどに位置するドネツク市から西へ向かう軸でも前進を加速させており、ウクライナ軍をクラホベ市からの撤退に追い込む可能性がある。その場合、ウクライナ軍は近くのボウチャ川に架かる橋を爆破し、その後方で態勢を立て直すことになりそうだ。 だが、東部戦線ではロシア軍が前進していない方面が少なくとも1つある。ポクロウシクから東へ50kmほど離れたトレツク市方面では、逆にウクライナ軍がわずかながら前進を遂げている。 2022年2月にロシアがウクライナに対する戦争を拡大する前、およそ3万5000人が暮らしていたトレツクで、ウクライナ軍が数区画を取り戻した方法は、この戦争の戦場のありようをよく物語っている。端的に言えば、そこでは戦闘と同じくらい建物の破壊が行われている。 10月上旬、衛星画像やドローン(無人機)映像、前線部隊の投稿動画などをつぶさに観察している人たちは、トレツク中心部で異変が起こっていることに気づいた。トレツク中心部ではそれまで数週間にわたり、ウクライナ軍の旅団とロシア軍の連隊が血で血を洗う激しい市街戦を繰り広げ、膠着状態が続いていた。 あるOSINT(オープンソース・インテリジェンス)アナリストは、トレツク中心部の高層住宅地区に陣取るロシア軍部隊に対するウクライナ軍の攻撃に、あるパターンがあることを発見した。 ウクライナ側はまず、ドローンなどでロシア側の陣地を爆撃する。その間、近接戦闘が行われている形跡もある。これは爆撃に続いて歩兵部隊が突撃していることを示す。歩兵の突撃後、爆撃はやむ。おそらく、ウクライナ側がその陣地にいたロシア軍部隊を排除したのだろう。 ウクライナ軍参謀本部直属の第101独立参謀本部警護旅団が10月上旬に編集・公開した動画は、こうした反撃の初期段階の様子を映しているようだ。動画の中では、自爆ドローンが集合住宅の出入り口や屋内、屋上などに潜むロシア兵を攻撃している。あるドローンは、ロシア軍歩兵が局所的な反撃に失敗したあと撤退するところも捉えている。