ステージ降りないシャチ...母が手助け、観客ハラハラの20分 実は「遊びの一環」だった
兵庫県の水族館「神戸須磨シーワールド」で2024年11月9日、シャチがプール浅瀬のステージから横向きのまま降りなくなる場面があり、母シャチが移動を助けていたとしてXで話題になっている。感動や心配が入り混じっているような状況だ。 【画像】須磨シーのシャチパフォーマンス 同館広報は取材に、シャチの遊びの一環として「プールに戻る気がなかったものと考えられます」と説明している。「今後も観測を続けていく所存です」ともいう。 ■母シャチに押され...ステージ降りるまで約20分間 神戸須磨シーワールドは2頭のシャチを展示しており、日に数度のパフォーマンスを行っている。公式サイトによると推定38歳メス「ステラ」と18歳娘「ラン」と名付けられた親子で、いずれも体長5メートル以上、体重2000キロ超えのサイズだという。 注目されたのは9日夕のパフォーマンス開始前のこと。プールに直結した浅瀬のステージで、ランが体の左側を下にして、まるで海岸に打ち上げられたかのように横たわり続けていた。 すると母・ステラがステージ上で身をよじり、時間をかけて水が深いエリアに娘を押し戻した。プールの中を並んで泳ぐ親子の姿に、安堵した客からは歓声や拍手があがっていた。 このような動画がXで複数拡散され、「助かってよかった お母さんの愛情に感動しました」「もう何回観ても涙が出ます」といった声が広がっている。一方、ランは自力でステージを降りられなかったのではないかとして、動画内で後ろから見守っていたトレーナーたちをみて、「これ人間が押しちゃだめなの?」などと心配するユーザーも。 動画の場面について、水族館を運営するグランビスタ ホテル&リゾート(本社・東京都千代田区)の神戸須磨シーワールド広報担当は11日、J-CASTニュースの取材に「出来事については事実です」と認めた。ランがステージから降りるまでは約20分間かかったと明かす。
「プールへ戻れなくなるような構造ではなく」
なぜ今回の事案が生じたのか。広報担当は、シャチがステージに上がる「ランディング」という行動について「これは遊びの行動です」と説明。詳しい背景は下記のように答えた。 「施設の構造上、ランディングをしてプールへ戻れなくなるような構造ではなく、遊びの行動の中でおこなっていることのためプールに戻る気がなかったものと考えられます。体調が悪いなどではありません」 トレーナーが手を貸さなかった理由は、「先日のような状況下でトレーナーがシャチをプールへ戻す作業は事故のリスクがあるため、経過観察の判断となりました」と伝えた。 なおXではトレーナーが毛布やロープを用意していたとの目撃談もあったが、「毛布やロープは、ステージ上のものでシャチが怪我をしないように物を退ける際に使用しており、シャチを動かすために準備したものではありません」とのこと。 ステラ、ランともに体調は問題なく、「当日のパフォーマンスは、はじめてこの様な行動が見られたため、様子をみながらおこないました」。今回の出来事は「遊びの一環としておこなっていることのため、今後も観測を続けていく所存です」と受け止めている。