高橋ヨシキが映画『ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ』と『梟―フクロウ―』をレビュー!
日本有数の映画ガイド・高橋ヨシキが新作映画をレビューする『高橋ヨシキのニュー・シネマ・インフェルノ』! 世界的ヒットのホラーゲームがまさかの映画化! 韓国で大ヒット!盲目の医師が挑む王子の死の謎! * * * 【写真】『梟―フクロウ―』のレビューにも注目! 『ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ』 評点:★2点(5点満点) 襲い来るアニマトロニクスが怖......くない! 2014年に第1作が発表された、同題の大人気ホラーゲームシリーズの映画化である。映画化の話は2015年からあったが、紆う余よ曲折を経て去年ようやく完成の運びとなった。 ゲームのクリエイター、スコット・カーソンが脚本も含め深く企画に関わっており、劇中に登場する恐怖のアニマトロニクス人形をジム・ヘンソン・クリーチャー・ショップが担当、製作はインディペンデント系ホラー映画プロダクションの雄、ブラムハウス・プロダクションとパワフルな布陣で期待値も高かった。 そして本作は2000万ドルの製作費に対し、3億ドル近い興行収入を叩き出し、続編の製作も決定した。大変おめでたいことである。 これで映画が面白ければ言うことなしだが、キャラクターを欠いた主人公は魅力が乏しく、ゴア描写はまったく不十分で(「ディレクターズ・カットはない」とのことだが本当に信じられない)、恐怖の対象が霊的なものなのか即物的なものなのかも判然としないため、どうにも弛緩した作品になっている。 ホラー映画ならではのケレン味が圧倒的に足りないのだ。メアリー・スチュアート・マスターソンとマシュー・リラードが手堅く脇を固めてはいたのだが。 STORY:廃墟レストランの夜間警備員・青年マイク。「モニターを監視するだけ」という仕事だが、やがてレストランのマスコットたちが自ら動き出し、凶暴化。マイクや廃墟の侵入者を襲い始める。世界的ヒットのホラーゲームを実写化。 監督:エマ・タミ出演:ジョシュ・ハッチャーソン、エリザベス・レイル、パイパー・ルビオほか上映時間:109分 2月9日(金)より全国公開中 『梟―フクロウ―』 評点:★4点(5点満点) シネマティックな興奮に満ちたエンターテインメント 本作は李氏朝鮮第16代国王、仁祖の時代の宮廷を舞台にしたサスペンス・スリラーで......と書くと何やら退屈そうに聞こえるかもしれないが、シネマティックな興奮に満ちた怒ど涛とうのエンターテインメントである。 主人公はその腕を認められて宮廷入りした若い盲目の鍼医ギョンス。身分制度がガチガチの時代にあって、「卑しい出自」のギョンスが生き延びる術すべは、自分に関わりのないことについては「何も見ず、何も聞かない」というスタンスを貫くことだった。 だが大国・清に人質として取られていた仁祖の長男で跡継ぎの昭顕が、帰国後ほどなくして体中の穴という穴から出血し死亡する異常事態が発生。その背後に渦巻く陰謀を知ってしまったギョンスは身を低くしたままで自ら行動することを余儀なくされる。 「盲人が目撃者」という映画はこれまでいくつかあるが、今回はそこにひとひねり加えてあるのも良い。 強国に強いられた屈辱とプライドの間で引き裂かれた仁祖を演じるユ・ヘジンの、『リチャード三世』を思わせる狂王ぶりも見応えがある。何より時代背景やキャラクターがすべて物語をブーストするべく機能しているのが見事で、観終わった後の満足度も非常に高い。 STORY:17世紀、朝鮮王朝時代。病の弟を救うため宮廷で働く盲目の鍼医ギョンスは、ある夜、王の子の死を"目撃"する。追われる身となった彼は、制御不能な狂気が迫る中、謎を暴くために闇を駆ける。タイムリミットは朝日が昇るまで――。 監督:監督:アン・テジン出演:リュ・ジュンヨル、ユ・ヘジンほか上映時間:118分 2月9日(金)より全国順次公開中