「あの話、どう?」風間トオル 俳優デビューのきっかけは都内のテニスコートで大物女優からかけられた一言
「モデルとして活動していた26~27歳くらいのとき、ファッション誌で阿部寛さんと女優さんをゲストに迎える対談企画をやっていたんです。そこに浅野ゆう子さんがいらっしゃってくれて『今度、主演のドラマをやるから、ぜひ、やりませんか?』とお誘いいただいたんです」 【写真あり】俳優デビューしたての風間トオル こう語るのは、風間トオルさん(62)。W浅野として人気を博した浅野ゆう子からの誘いだったが、当初は断ってしまった。 「モデルらしいモデルではなく、ポーズもできないタイプ。たまたま不動でいたらカメラマンが『それ、新しいね』と言ってくれて、何もしていないのに仕事が来るように(笑)。演技らしいことをしたことがなかったんですよ」 その後、浅野とはプライベートでテニスをすることもあった。 「都内のテニスコートを2~3面借りて、大人数で。お昼休み、出前の天ぷらうどんを食べているときなんかに、ゆう子さんから『あの話、どう?』、『もう一回、考えてみて』って言われて“そんなに熱心に誘ってくれるなら”と、出演させていただくことになったんです」 初めてのドラマの現場では、戸惑うことも多かった。 「『そこの机、わらって』という表現も、何のことかわからない。あとで『わらう』が『どかす』という意味だと知りました」 セリフを言っているときにカメラが動くと、つい目で追ってしまい『アイドル歌手じゃないんだから』と注意されてしまった。 「ボクの登場シーンの半分くらいはNG級。なかでもセリフが聞き取りづらかったんです。NGにならないよう、ゆう子さんがアドリブで『今、○○って言ったの?』とセリフをリピートしてくれたりしました」 このように、多くの共演者が未経験者を助けてくれたという。 「かとうかず子さんは、ご自分とは関係のないシーンにも、ボクのセリフ合わせに付き合ってくださいました。柳葉敏郎さんは、よく飲みに連れていってくれましたね」 バブルの好景気だったため、ロケの際の食事も豪華だった。 「現場近くのレストランを予約してくれて『何でも好きなものを頼んでください』と言われていたんですね。しかもドラマの設定が麻布十番だったため、すごく贅沢させてもらいました」 同ドラマを足がかりに、次々と話題作に出演することに。 「生き方を大きく変える出会いは人生のうちに1~2度ありますが、その一つが、間違いなくゆう子さんとの出会いでした」 【PROFILE】 かざま・とおる 1962年生まれ、神奈川県出身。雑誌『メンズノンノ』などのモデルを経て、1989年に同ドラマで俳優デビュー。以後、ドラマ、映画、舞台などで幅広く活躍。
「女性自身」2024年12月3日号