行き詰った「大阪都構想」そもそもの狙いは?
「2つの権力」を解消
また、大阪には知事と市長という2人のリーダーがいるため、責任の所在がわかりにくいという指摘もあります。都構想を実現することで行政のムダもなくなり、政策の実行もスムーズに行えるというわけです。 もっとも、大阪都構想に問題がないわけではありません。まず、行政のムダをなくすとされている一方で、区ごとに議会を設けるために新たなコストが増えます。さらに、これまでは広域的な行政は大阪市が担当し、市内の業務の分担など地域格差を調整してきましたが、その機能がなくなるなどの弊害も指摘されています。
特別区はどのように再編される?
橋下市長は今後、この大阪都構想をどんなスケジュールで実現しようとしているのでしょうか。 当初の予定では、2月初めまでに大阪都構想を話し合う協議会で特別区の区割り案をひとつに絞り込むはずでした。区割り案は「人口30万人規模の7区」と「50万人規模の5区」の2パターンを軸に、市内で税収1位と2位を占める中央区と北区を合区したり分離する計4案がありました。この再編案を6月に確定。夏に大阪府議会と大阪市議会で大阪都移行を問う住民投票を決めて、10月をめどに住民投票を実施するとしていました。それが可決されれば、来年4月に大阪都に移行するというのが想定されていたスケジュールです。 大阪都構想で特別区のモデルとなっている東京都の23区は、いわゆる政令市の行政区とはとはまったく違います。例えば、特別区では首長は選挙で選ばれ、議会もありますが、行政区では区長は市長が任命し、議会もありません。 橋下市長が絞り込みを提案した区割り案は、北区を淀川区や東淀川区、中央区を天王寺区や浪速区、西成区などと一緒にして税収上位の区を分離し、1区あたり45万人規模の「5区」にするというものでした。しかし、各政党の府議や市議は、統合による効果額や特別区の間の財政格差などへの疑問から絞り込みを拒否。困った橋下市長が出直し選挙に踏み切ったというわけです。